バッグや鞄におすすめの織ネームは擦れに強い織り方で作りました

鞄用織ネーム

今回ご紹介させていただくお客様がこれまでに無い、使いやすいバッグを開発されたきっかけは、旦那様がご病気により右半身麻痺になられたことです。

懸命なリハビリの結果、日常生活が可能になり、仕事復帰を目指していたところ、片手だけで様々な動作をおこなうことの難しさに気づかれ、片手しか使えないというのは、お子さんを抱っこしている時も同じで、子育てをしているママやパパにも共通している悩みだと考え、「片手仕様」の「TOKYO BACKTOTE」を開発されました。

「片手仕様」バッグには多くの機能が盛り込まれています。
詳しくはこちらのサイトに分かりやすく書かれてます。
TOKYO BACKTOTE:https://www.makuake.com/project/tokyo-backtote/

開発された商品は細部にまで考えられていて、使い勝手はもちろん、デザインや素材にも強いこだわりが込められておりました。
私たちも織ネームにはいろんな思いを込めてお作りしているつもりですので、このバッグが必要としている人に届くことを願っています。

お客さんは初めて織ネームを作られるということで、当社にご相談をいただきました。
TOKYO BACKTOTEは天然素材の黒コットン生地を使用されているとのことで、マットな感じの雰囲気をご希望されていらっしゃいました。
また、取り付け場所や方法などもお伺いさせていただき、バッグに取り付ける場合は「擦れに強い」という機能が必須ですので、当社からはその両方を満たす織り方や折り曲げ方法などをご提案させていただきました。

織ネームの作り方が分からない場合でも最適な糸素材・織り方・折り曲げなどをご提案させていただきます。
特に最近はデザインや機能に強い思いをお持ちのお客様からご相談をいただくことが増えております。
私たちは「織ネームは商品の顔」と考えて、お客様の商品価値の向上にお手伝いをさせていただきたいと願っておりますので、皆様のご要望を遠慮無くお申し付けください。

ブランド織ネームを正確に作ることができる業者に必要な3つの技術

ブランド織ネームを正確に作ることが出来る制作業者を選ぶには、業者が持っているべき3つの技術を確認するのが良い選び方だと思います。

制作業者には私たちのような機屋(はたや)や織り元(おりもと)と呼ばれるところがあります。
これらは実際に織物を織る機械である「織機(しょっき)」を使って自分たちで織っている業者のことをいいます。
工場には織機があり、糸も様々な種類と太さを在庫しています。
私たちの工場にも織機が複数台あり、作る織ネームの色や付加価値に応じて織機を使い分けています。

そして私たち制作業者の制作の流れは、
 ・デザインの表現や織ネームの取り付け位置などを考慮した織り方を決める
 ・織り上がりがデザインデータの色に最も近くなる色糸を選ぶ
 ・お客様のデザインデータから織物の設計図である「型」を作成する
という準備を経て試し織りに進みます。

試作した生地を見て、デザインはもちろん、色の再現性や寸法の確認をおこないます。
この試し織りをした後、お客様のデザインを正確に再現するためにはこれらの3つが必要になります。
 ・『型の修正
 ・『織機(しょっき)設定の微調整
 ・『色糸の変更
の3つが必要です。
これらのことを自由に出来る業者を選ぶことができれば、あなたのブランド織ネームは50%以上完成しています(笑)。

 

①織物の設計図「型の修正」とは


ブランドタグのお見積もりをされた人はご存じだと思いますが、見積もり書に「型代」という項目がありませんでしたか?
これは印刷でいう「版代」に当たります。
織ネームを制作するにはタテ糸とヨコ糸をどのように動かしてデザインを再現するのかを決めた設計図が必要になります。その設計図のことを「型」と呼んでいます。

この型はコンピュータのソフトで作られており、髪の毛のような細さのタテ糸や、様々な素材・色のヨコ糸を1本ずつ制御しています。
お客様の織ネームタグの仕上がりはこの「型」の出来具合に大きく左右されます。

試作した生地を確認し、寸法の調整やデザインの表現などを修正するために織り方を変更することが『型の修正』です。
この『型の修正』を繰り返すことで、お客様のデザインを正確に表現出来る織物が仕上がります。

 

②織機設定の微調整とは

上の『型の修正』と合わせて、織機の動きを微調整することもあります。
『型の修正』だけでは織り具合を調整しづらい場合には積極的に織機の設定を変更しますし、色糸(ヨコ糸)だけではなく、タテ糸の張り具合でも織物の仕上がりが変化するため、織物毎に最適な糸張力に微調整をおこないます。
昔の機械から比べれば楽に織れるようにはなりましたが、それでも職人の経験が必要な仕事です。

 

③色糸の変更とは

お客様のデザインの色を再現するには色糸の選択が重要になります。
しかし、色糸は印刷物と比較すると色の種類が少なく、「型」の基本となる織り方にも影響を受けて織物の色が変化する特徴があります。

上の写真は糸の見本帳ですが、例えば紫色の「M-402」という1つ糸番号に対して4種類の色が見えませんか?
実はこの4種類とも同じ色の糸で織ったものですが、織り方が異なっているだけです。
 左上:トジ15本
 右上:5枚裏朱子
 左下:綾4×4
 右下:5枚朱子
このように織り方を変えると同じ色の糸でも再現される色が変わってしまいます。

上の『型の修正』をおこなった場合、同じ色糸では色の出方が変わることがあるため、
色糸の変更も同時におこないます。

 

このように、『型の修正』、『織機設定の微調整』、『色糸の変更』はすべて連動しており、
どれか1つだけの修正で完成する場合もありますが、細かなデザインなどはこれら3つの技術を組み合わせて試作を繰り返し、デザインと色を正確に表現します。

 

この3つの技術には制作業者が「機屋」や「織り元」であることに加えて、「型」を自社内で作っている業者である必要があります。
というのも、「型作り」を外部の業者に委託している場合は、試作生地の写真を送って型作成業者に型の修正してもらうことになります。
写真だけでは細かな不具合に気づきにくく修正が完了するまでに何度もやり取りが発生し、かなりの時間がかかります

また、機屋は「型」の修正を依頼して、修正した「型」が届くまで織機を止めておくことになり、
仕事の効率が悪化するため費用の上昇や納期の遅延が発生する可能性があります。

私たちのように、実際に試し織りをした現物の生地を見て、型を作った人が直接修正する方法が、
最もデザインの再現精度が高く、短時間に型が完成します。

もちろん、当社以外の制作業者に依頼する場合にも、
 ・『型の修正』
 ・『織機設定の微調整』
 ・『色糸の変更』
これら3つの技術を持っている業者さんへ依頼すれば安心だと思いますのでご参考にしてください。

私たちはお客様のご要望に可能な限りお応えいたしますので、お気軽にお問い合わせください。

 

オリジナルのブランドタグを業者に注文する時に必要な2つのこと

私たちはオリジナルのブランドタグの制作を長年続けており、お客様ご希望のデザインデータを正確に織り上げることに自信をもっています。
織ネームはブランドの顔と考え、最適な織り方、糸素材をご提案させていただくために、詳細な質問させていただくこともございます。

納期が短い場合など、それらのやりとりがご面倒かもしれませんが、結果的には最短時間でお客様のご要望にお応えできる方法ですので、ぜひご協力をお願いします。

そこで、お客様がブランドタグを制作業者に注文する時にご準備された方が良いことをご紹介します。
私たち以外の制作業者にご注文する場合にも当てはまると思いますので参考にしてみてください。

 

①ブランドタグのデザインデータ作成について

私たちはお見積もりの正確性とご注文後の迅速な制作進行を考慮して、デザインデータはAdobe社のイラストレーターのデータをお願いしています。
このデザインデータにおいて、下記の点を踏まえたデータを作成いただければ、正確なお見積をスムーズにお伝えすることができます。また、デザイン修正の手間が省け、速やかにブランドタグの制作に取り掛かることができます。
 ・文字の大きさは英数字:1.2mmひらがな・カタカナ:2.0mm漢字:3.2mmまで
 ・生地端から文字や絵柄までは2mm離す

織物での再現が微妙な寸法での制作は、完成後にお客様の想像と異なることがまれに発生しますので、試作されることをおすすめいたします。

 

②色の指定について

お客様がデザインデータで作成された色と織り上がったブランドタグの色が異なることほど残念なことはありません。
この色のズレが発生しないためには、「デザインを印刷した現物を送付」していただくか、DICカラーガイド18版 第1巻、第2巻、第3巻での「DIC番号を指定」していただくのが最善の方法です。
他の制作業者様ではPANTONE(パントーン)を使用されているところもあるようです。

デザインの色を共通して認識できる方法でご提供いただければ、私たちがご希望の色に最も近くなる色糸を選び、織り上げるという工程が正確でスムーズにおこなえます。

お送りいただいたJPEGデータやPDFのデータを私たちがPCで見て色糸を選ぶ方法では、PCモニターの設定によって見える色が異なり、お客様のイメージ通りの色にならない可能性があります。

さらに色の再現に強いこだわりをお持ちのお客様には、必ず試作することをおすすめいたします。
微妙な明暗などは見る人により若干の違いが生じますので、お客様の商品同様、ブランドタグの色へのこだわりに、私たちもお応えいたします。

 

この「デザインデータの作成」と「色の指定」にご注意いただければ、とても正確でスムーズな制作になり、品質と納期においてお客様もご満足いただけると思います。

逆にこれらの情報をいただけないと色の確認に時間がかかり、納得のいかない仕上がりになったり、納期が遅れることもありますので、ご準備されることをおすすめします。

私たちは、お客様のこだわりにお応えしますので、お気軽にご相談ください。

 

消臭・抗菌機能付きスマホクリーナーをシャツ型に折りたたむ

orinuno-02

消臭・抗菌機能付きの糸を織り込んだ、スマホクリーナー生地をシャツ型に折りたたんでみました。

 icon-check3-g 「ズバッ」と汚れが拭き取れる
 icon-check3-g 「消臭・抗菌」効果も期待できる

もう1つ何か加えて、他とは違う商品にならないだろうか?

あげても・もらってもうれしい品

orinuno-03

このクリーナー生地を試作し始めてから、
  「拭き取り性能の向上
  「消臭・除菌効果への期待
と変化してきて、唯一変わっていないのがただの四角い生地ということ。

何かプレゼントや記念品、販促品に良い物はないかとお探しのお客様へご紹介したいと考えておりましたが、ただの四角い生地はちょっと地味ですよね。

何かよいアイデアはないか?と思っていたある日、社内の女性スタッフからもらったメモが軽く折りたたんでありました。

orimemo01

それを見て、昔(かなり昔ですが・・)学校の授業中にメモ用紙が回ってきた時にもいろんな折り方で回って来たねって話になりました。

そこで、思いついたのが生地を折りたたむことです。

そうすれば、見た目もかわいいので、プレゼントする人も選ぶ楽しみがあって、もらった人もかわいくて机に飾っておいてもらえるのでは?
という勝手な想像でクリーナー生地を折りたたんでみました。

折り紙のサイトを見ながら何種類も試しました。

orinuno-04
残念ながら紙と違って布は折り曲げた状態が維持しづらいんですね。

生地の厚みを薄くしてみたら、ある程度クセが付くので折りたたみやすいですが、拭き取りが弱くなりがちですので、拭き取り性能が良い厚さのままで、折りたためるものを探していると、この『シャツ型』にたどり着きました。

これなら「しっかり拭き取れて、かわいらしい見た目」になってないですかね?

orinuno-01

シャツ型に折りたたんだままでも拭けますし、広げて大きな画面のタブレットを拭くこともできます。

広げても折り目が残っているので、元のシャツ型に戻すことも出来て、机の上に置いておいても邪魔にならない気がします。

また、こんな感じにぶら下げておくのもおしゃれかなぁと自己満足に浸っております。

orinuno-05

このハンガーも女性社員のアイデアから試作したものです。

シャツ型のクリーナーが落ちないように固定できるように、何度も針金の折り曲げ方を工夫してみました。

ネクタイのように針金があるタイプが今のところ一番固定出来そうです。

 

前回の記事から2年も経過してしてまいましたが、量産方法や価格などを検討すると、実現は難しい状況でしたので、ご紹介を迷っておりました。

しかし、少しでも皆様の商品づくりの参考になればと思い、ご紹介させていただきます。
また、何か織り上がった生地のカットや折り曲げなど、良いアイデアがございましたらぜひアドバイスください!

私たちは用途に応じて拭き取り性能と生地の厚みなどを調整するなど、織物に関しては技術がありますが、その素材を商品として活かすアイデア作りが苦手です。

お客様のアイデアでとても良い商品になるような気がします。

 

 

先日導入した新型織機なら、もっと効率的に織ることができるため、今後も引き続き改善していきたいと思います。