新年のご挨拶と地震の影響について

あけましておめでとうございます。

1月1日に能登半島地震が発生しました。これまでも能登地区では地震が頻発しており、とても心配しておりましたが、大きな被害に見舞われる規模の揺れが起きてしまいました。
被災された方々には心からお見舞い申し上げます。
また復興に尽力されている関係者の皆様への安全をお祈りいたします。

私たちの社屋ですが、能登と比べれば揺れは小さく、糸や在庫品が棚から落下する程度の揺れでしたので、明日からの営業には大きな影響は無いと思われます。

ご心配のご連絡をいただきましたお客様や関係者の皆様、お気遣い誠にありがとうございます。

明日から社員全員で皆様のご要望にお応えできるものづくりを続けて参ります。

本年も出口織ネームをよろしくお願い申し上げます。

2023年 年末年始休業のお知らせ

出口織ネームのサイトをご覧いただき、ありがとうございます。

誠に勝手ながら下記期間を年末年始休業とさせていただきます。

年末年始休業:2023年12月28日(木)〜2024年 1月 4日(木)

12月27日(水)午前中は通常営業をしておりますが、午後は社員全員で大掃除をいたします。
また、年末年始休業明けは 1月 5日(金)より通常営業いたします。

休業期間中はご不便をおかけいたしますが、ご了承くださいませ。

先日は大雪になりましたが、それ以降は雪が降ることもなく気温が高い日が続いています。
社員一同、体調管理に気をつけながら休業期間にリフレッシュし、また来年も皆様のご要望にお応えしたいと思います。

引き続き、株式会社出口織ネームをよろしくお願いいたします。

刺繍タグをオリジナルの織りネームやブランドタグで制作する

「刺繍タグの刺繍部分の色は自由に選べますか?」
「刺繍ネームは小ロットで作ってもらえますか?」
というお問い合わせを最近いただくことが増えました。

衣類やバッグなどには取り付けられていることが多いブランド名が分かる小さい布生地。
梨地織りと綾織りブランドタグ
これらは私たちの業界では、「織ネーム」や「ブランドタグ」と呼ばれています。
しかし、お客様から上のようなご質問をいただくことが増え、織ネームは専門用語だったと思い出しました。
お客様からすると、刺繍というイメージなんですね。他にもいろんな呼び方がされいますが、その話また別の時に。
さらに、余談ですが、私たちは「」の入っていない”織ネーム”と書きますが、多くのお客様は「り」が入った”織ネーム”と書かれます。
日本語変換では候補の1番目に”織りネーム”とされますから、当然ですよね。

昔は大手メーカー様がブランド名やブランドロゴを織り込んだ織ネームをスーツやネクタイ、シャツ、財布やバッグなど様々な商品に取り付けていることが多かったです。

最近はハンドメイド作品をお作りされているお客様もブランド名や作者名を入れた刺繍タグをご使用されていらっしゃいます。
やはり、ご自分の作品や製品に取り付けることで、購入者様に安心感とオリジナル感を与えることができるのではないかなと感じています。

さて、
 『織ネームと刺繍ネーム』 『ブランドタグと刺繍タグ』
の違いですが、
『ベース生地に、色糸を追加して文字やデザインを描く』のが刺繍ネームや刺繍タグです。

刺繍手作業4色の糸

写真ACより引用

これは白いベース生地にグレーの糸を針に通し、ベース生地に刺して文字を描いています。色糸の方向は上下左右に加えて、斜め線も自由に表現できます。
文字の上のお花も白・黄・緑の糸を1本ずつ針で生地に縫い付けて表現しています。
刺繍の特徴は、デザインの糸がベース生地より盛り上がるため、立体感があります。

ベタ織り8色ブランドタグ『ベース生地とデザイン部分を1枚の生地として同時に織る』のが織りネームやブランドタグなどです。
私たちの織物の糸の方向はいつも、上下左右だけです。斜め線や曲線は工夫して再現しています。
織りネームには、細かな線の表現や多くの色を使えるデザインの自由度が高い点と、擦れなどに強いという特徴があります。

刺繍5色ミシン作成

写真ACより引用

刺繍は刺繍用ミシンで作ったものの方が皆さん見たことがあるのではないでしょうか?
帽子やユニフォームについていることが多い、ワッペンですね。
ミシンで作ったワッペンは色も多く使え、デザイン性も高いです。
そして、刺繍ワッペンとしての存在感が強いですよね。

私たちが作る織りネームは最大12色の色が使え、ベース生地にもデザインや模様を織り込むことができます。実は、下の織りネームのベース地には模様が入っています。
そのベース地の上にブランド名やブランドマークなどを自由に描けるのが織りネームです。
ベタ織り8色ブランドタグこの織りネームの色糸は上下方向に入っています。黄色の文字の部分を拡大すると見やすいです。
そして、色糸の下に隠れていて見えませんが、左右方向にタテ糸が入っていて、色糸(ヨコ糸)とタテ糸が交差して織物が出来上がっています。
糸の方向は常に縦と横です。斜めにもできる刺繍とは異なる点ですね。

  刺繍(ミシン) 織りネーム
文字の表現 △最小4mm ○最小1.2mm
フォントの種類 △少ない ○多い
デザインの表現 △中~大サイズ ○小~大サイズ
色数 ○最大15色 ○最大12色
設計図の有無 ○不要 ×必要
少ロット生産 ○10枚でも同額 △100枚以下は割高
大量生産 ×苦手 ○得意
費用 ○100枚以下は安い ○初回 or 追加で300枚以上なら安い

このような特徴があると思いますので、取り付けされる製品のイメージに合うタイプをお選びください。
ブランド名などが入った織りネームやブランドタグは、商品を購入される方に安心感を与え、オリジナル感もアップすると思います。
ぜひ、織りネームで作成したいお客様はお問い合わせくださいませ。
お客様の製品の安心感や高級感アップをお手伝いする織りネームをご提案させていただきます。

織ネームのお問い合わせはこちらから!

アウトドアブランド鎌倉天幕様のオリジナル織りネームでこだわりの文字表現

鎌倉天幕ブランドタグ大

今回ご紹介させていただく制作事例は、株式会社 ニューテックジャパン 様の『鎌倉天幕』ブランドのオリジナル織りネームです。
 鎌倉天幕ブランドのWebサイトはこちらから

アウトドアを趣味にしている人であればご存知の人が多いとは思いますが、高品質はもちろん、ユーザーのことを考えたアフターサービスで有名なブランドです。
近年はキャンプブームで多くのアウトドアブランドからテントやタープなどが販売されていますが、個性的なスタイルをした格好良いテントとタープが印象的です。
しかも、使用している生地やポールにも機能的な要素を盛り込み、機能性が大好きな男性には最高のキャンプギアと言われているのが分かります。

鎌倉天幕_ピスネーム_種類

そんな鎌倉天幕ブランドの織りネームを製造させていただいたのは5年ほど前になります。
白石代表様から直接お問い合わせいただきました。
対応した担当者は失礼ながら鎌倉天幕ブランドを存じ上げておりませんでしたが、Webサイトを拝見すると、強いこだわりが入った製品を開発されていることが伝わり、「ブランドの顔になる」織りネームにも私たちのこだわりを込めてお作りさせていただきました。

予めご希望の織り方をお知らせいただき、納期もお急ぎのようでしたので弊社からのご提案の織り方も含め、織り方サンプル画像をお送りさせていただきました。
白石様は織物にも非常にお詳しく、数回のお打ち合わせで制作内容をお決めいただき、お問い合わせから3日後には設計図の作成に取り掛かることでき、短期間での納品にご協力いただけました。

お作りするブランドタグはキャンプ用品に使用されること。また、ブランドネームには漢字とアルファベットが入っていました。
鎌倉天幕_デザインデータこの情報から型と呼ばれる設計図作成担当者が力を入れたのが下記の3点です。
 (1)擦れに強い生地
 (2)英字のセリフ部分の再現
 (3)漢字の曲線の滑らかさ

(1)擦れに強い生地
この機能を実現するには『裏朱子』という織り方を選びました。
一般的に擦れに強い織り方は平織りですが、細い線や小さい文字の再現は難しいことが多いです。
今回のデザインを拝見し、裏繻子織をご提案させていただきました。
また、今回は『センターフォールド』という折り曲げ加工をおこないますので、ヨコ糸をどちら方向に走らせるのかなども含めて織り方を決めています。
裏朱子織りの特徴はこちらを御覧ください:出口の技術-裏朱子織


(2)英字のセリフ部分の再現
デザインデータの英字には下記の赤丸のような特徴があります。

鎌倉天幕_英字セリフ部アルファベットの先端にあるこれらは、”セリフ”や”うろこ”と呼ばれる小さい飾りです。
特に「T」と「E」のアルファベットの先端には上下方向に飛び出すセリフがあります。
小さい文字の場合、この飾りのような小さい線は通常通りの設計図を作る作業では再現されにくいことが多いです。

鎌倉天幕_英字生地_修正前初回に試し織りをした上の生地では上下方向の飾りが小さかったり、欠けているものがあります。これらの部分がいくつもあるので、担当者がルーペで生地を確認し、一箇所ずつ手作業で設計図を直していきます。

そして、最終的に完成した生地ががこちらです。

鎌倉天幕_英字生地_完成版飾りを再現するヨコ糸を表面に出るように修正し、上下方向の大きさも揃えられる箇所は揃えています。
パッと見ても分からないかもしれませんが、文字全体として見るとセリフ体と言われるフォントの雰囲気が伝わるための大事な部分だと思います。
 
ちなみに、下の緑丸の部分で左右方向の線が途切れている部分があります。

鎌倉天幕_英字生地_留め
この部分は黒いタテ糸で文字を表現している白い糸を留めている部分です。
この留めが無いとヨコ糸が長く表に出続け、ブラブラして直線を表現できないので、文字の表現に支障が少ない箇所で糸を固定しています。


(3)漢字の曲線の滑らかさ
デザインデータの漢字の書体は、全体に滑らかな印象があります。

鎌倉天幕_漢字デザインデータ織物で再現が難しいのは曲線部分です。線の輪郭がガタガタすると滑らかな線に見えません。

下記は初回の試し織り生地です。ベース地の色は試し織り工程の効率化などの理由で別の糸で進めることもありますが、完成までには色の確認も試し織りでおこなっています。

鎌倉天幕_漢字生地_修正前「鎌」という文字の赤線部分は上下方向の直線ですが、微妙に斜めになっていて、カクっと右にズレて線が続いているように見えます。
また、赤丸のはらいの根本部分が詰まった漢字でスッキリしていません。
このような箇所を手作業で修正していきます。

鎌倉天幕_漢字生地_修正後修正前と比べると滑らかな線になり、すっきりとした漢字として表現できたと思います。

さらにもう1点ご紹介します。

鎌倉天幕_漢字生地_修正前2こちらの「倉」という文字は、赤丸部分の縦線が太くなりごちゃごちゃして見えます。
また、赤線のように口の縦線が機械的に急に細くなり、垂直の線に見えます。
こういう見え方をする部分を担当者が気づき、1箇所ずつ糸の動きを修正します。

鎌倉天幕_漢字生地_修正後2修正後の生地では、赤丸部分は縦線が細くなりスッキリしました。
口の縦線も少し角度があり、漢字らしい口になりました。

という手作業による細かい部分の修正が多いのが設計図作成担当者の仕事です。

下の画像の上が修正前で、下が完成版です。

鎌倉天幕ブランドタグ_比較

言われなければ分からない修正点もありますが、少しでもきれいに再現できるために、どの担当者も努力を惜しみません。

設計図の修正するたびに、工場で織機のスケジュールを組み直し、試し織り作業をおこないます。今まで使用してしていた糸をすべて試し織り用の糸に交換し、織機の設定も試し織り生地用に変更になるので、工場の製織担当者も大忙しです。

今回は合計6回の試し織りと設計図の修正をおこない完成しました。デザインによって変わりますが、少ない場合で3回。多いものだと10回を超える試し織りになることもあります。
設計図の完成がもっと早く、精度の高いデザイン表現ができるように、新たなソフト開発にも取り組んでいます。うまく活用できるようになれば、短納期のご要望にもお応えできると思いますので、今後も改善し続けます。

設計図が完成すると、量産工程に入り、完成版生地を確認しながら、糸の張力やカット位置を確認・調整しながら不良品にならないように織り上げます。糸の張力調整は担当者が糸を引っ張りながらその強さで決めていますので、まさに職人の技です。

そして、樹脂加工工程を経由して、検品・カット・折り曲げ工程をおこないます。

鎌倉天幕_折り曲げ加工前

ここでも、検査担当者が全枚数を目視で確認します。
小さなキズや汚れなどをすぐに見つけられる目も経験が必要な仕事です。

最後にテープ状につながっていた織りネームを1枚1枚にカットし、お客様のご要望に応じた折り曲げ加工をおこないます。今回ご紹介させていただいた織りネームはサイズが大きいため、1枚1枚のカットと折り曲げは手作業でおこないました。
一般的なブランドタグなどに多い90mmまでの幅は専用の機械で折り曲げながらカットできますが、これもまた機械の調整に微妙な塩梅が必要で専任の担当者でなければ動かせません。
この折り曲げで失敗すると不良品になりますので、しっかりと調整しながら作業をおこない、カット作業後にも再度折り曲げが正しく出来ているのかを確認し、最終検品しています。

最近は緻密なデザインを採用されるお客様が多くいらっしゃいますので、型と呼ばれる設計図作成が長時間化しております。TVの解像度がフルハイビジョンから4Kになったように、細い線や小さい文字を留めの見えないように織り上げる高密度織りが人気で、細い糸を従来の2倍ほど織り込みデザインを表現します。

この高密度織りは織りネームだけではなく、お守りや御朱印帳などの生地づくりにも人気です。さらに私たちはシリアル番号や選手名などの文字を1枚ずつ異なるように織り込むことができます。

私たちが蓄積してきた様々な技術を使ってお客様のご要望にお応えいたしますので、お気軽にお問い合わせください。

最後に、制作事例の掲載を許可いただきました白石様、誠にありがとうございました。
今後ともより良い製品をお作りするお手伝いをさせていただければ幸いです。