ようやくたどり着いた試作クリーナー生地の弱点を見つけてしまいました・・・。
原因はジャガード織物特有の方向性が関係しています。
出口織ネームが作っているブランドタグやお守り、ミサンガなど全ては同じ構造の織機で製造しています。ジャガード織機で織り上げた織物は一般的に『ジャガード織物』と呼ばれています。
詳しくは『出口織ネームのジャガード織とは』のページをご覧いただけるとイメージしやすいと思います。
刺繍とジャガード織物の違い
織ネームのお問い合わせでもよく聞かれるのですが、「刺繍」と「ジャガード織物」の違いは、その作り方です。
左の写真のように刺繍は基本となる生地があり、その生地にロゴや絵柄を追加して作ります。
ですので、生地の上に盛り上がったように絵柄が表現されているものが多いと思いますが、ジャガード織はベースの生地と生地に描かれる模様を同時に織りながら作り、一枚の生地になります。
当社には白色のタテ糸がセットされた織機と、黒色のタテ糸がセットされた織機がありますので、作成する生地や織ネームの色に応じて使い分けています。
ベース地も絵柄も表現するのは、数百種類あるすでに染色されたヨコ糸であり、様々な色糸を表にどのように出すのかがも、『織り方』になり、設計担当の腕の見せどころです。
もちろん、ロゴや文字の部分を少し盛り上げた織り方もできますので、刺繍っぽい雰囲気の織ワッペンなども製造可能です。
ジャガード織物には様々な『織り方』がありますが、
一部代表的なものは『出口織ネームの技術-織り方』をご参照ください。
そんな多くの『織り方』ですが、共通していることがあります。
それは、『タテ糸とヨコ糸が交差している』点です。
つまり、織り上がった生地には『タテ方向とヨコ方向』が存在します。
この『方向性』が今回のワイピングクロスにおいては、若干弱点になってしまいました。
開発中のワイピングクロスの弱点とは?
織ネームもスマホクリーナー生地も同じ構造の織機で織っていますので、
タテ方向とヨコ方向が存在します。
ネームタグなどと同じく、ヨコ糸がベース部分や絵柄を表現するのですが、
拭き取り性能を持った糸もヨコ糸です。
この糸が多く表に出るような織り方をすることで、「ズバッと汚れを拭き取れる」生地になります。
そして、最も汚れが拭き取れるのは、糸の方向に対して垂直に動く時です。
糸の長さ部分で汚れを引っ掛けて取るような感じです。
逆に糸に沿った方向に動かすと、汚れが糸に引っかからず汚れの取れ具合が悪くなることがわかってしまいました。
簡単な図で説明すると、下記のような状態です。
汚れが取れにくい拭き方
このように、ヨコ糸に沿った方向の「ヨコ方向」に生地を動かして拭くと、汚れの引っ掛かりが弱く、若干汚れが残ってしまいます。
残った汚れは、1,2回拭けばほぼが消える程度の残り具合です。
汚れがきれいに拭き取れる拭き方
このイラストのように、ヨコ糸と垂直(タテ糸方向)になる「タテ方向」に生地を動かすと、ズバッと強力に汚れを拭き取ることが出来ます。
『出口織ネームのクリーナー(ワイピングクロス)』のページにある動画のように、
有名な大手クリーナー生地より拭き取れます。
とはいえ、拭ける方向と拭けない方向があるのは困るので、また『織り方』の研究です。
様々ある織り方をベースに拭き取り試験をして、可能な限り拭き取り性能が上がる織り方を見つけました。
現時点では、ひと拭きだと「タテ方向」の方が「ヨコ方向」よりも拭き取れます。
しかし、「ヨコ方向」ももう1,2回拭けば、しっかり汚れが消える性能を出せました。
この拭き取り具合はかなり自信があります!
あっ、また長くなってしまいました。
次回に続きます。