投稿者「doname」のアーカイブ

超小ロット多品種商品製造に向けて新織機導入

とても久しぶりに書く織ラボです。
ほぼ1年半以上も空いちゃいましたね。

その間に新しいジャガード織機が当社に入りました!

この織機、これまでの機械と大きく異る点があり、今まで織れなかった糸で生地を織ることが出来るんです。

イタリア人営業マンが言うことなので、鵜呑みには出来ませんが・・・(汗)。
これから、いろんな糸を使って試し織りをしてみたいと思います。

この織機は2016年に採択された、『ものづくり補助金』という全国中小企業団体中央会の補助金事業を活用しました。

2ヶ月程かけ、30ページ以上書いた申請書には、今後ますますニーズが増えるであろう、『多様性』製品の製造に関することを書き綴りました。
他社には出来ないモノづくりで、多くのお客様のご要望にお応えできるように準備いたします。

これまでも納品実績のある、1つ1つ異なる番号が入ったシリアル番号織ネームや氏名が入ったミサンガなど、デザインの多様性製品を今後も強化して参ります。
そして、新型織機の最大のメリットを活かした、これまで使えなかった糸を使った機能性繊維を使った製品を開発します。

現在、少しずつ準備を進めておりますので、何か形が見えてきたらこちらでご紹介させていただきます。

消臭・抗菌機能を追加したスマホクリーナー生地の効果は?

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スマホクリーナー生地に追加したのは、『消臭・抗菌』機能でした。

その効果はあるのか?

 

これまで試行錯誤してきたスマホクリーナー生地ですが、四角い生地です。

すごく拭き取り性能が高いのですが、見た目はただの四角い生地です。

・ ・ ・。

何か物足りない ・ ・ ・。

ですよね?

汚れを拭き取るだけじゃなくて何か・・・。

!!!

これはどう?

 

ワイピングクロスに追加した機能

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ニュースなどではパソコンのキーボードはトイレより汚いとか言われていますよね。

それと同じくスマホの画面もかなり菌が繁殖しているようですので、画面の綺麗さだけじゃなく、除菌もできたら良いのでは?

また、汚れた生地は臭くなるかもしれないし、消臭もできたら良いのでは?
という意見が社内でもありました。

そこで、追加したのが『消臭・除菌効果のある糸』です。
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見た目はただの白い糸ですが、ちゃんと消臭・除菌効果があるんですよ。

しかし、この糸は拭き取り性能がないので、裏面に使っています。
そのため、このタイプの生地は表面しか拭けません。

 

消臭・抗菌糸を使った商品

当社に織ネームのご注文をされている、あるお客様はペットのう○ちなどを入れる、マナーポーチやエチケット巾着を製造されています。
そのポーチの中にこの糸を使った織ネームを取り付けてらっしゃいます。

巾着袋の中の消臭を目的に取り付けられており、かなり効果があると聞いています。

何度かリピートのご注文もいただけてますので、このスマホクリーナー生地をカバンに入れておけば、消臭効果は期待できますね。
また、画面を拭いた生地に付着した菌の増殖を遅れさせる効果も期待できるので、安心して使えそうです。

出口織ネームでは、付加価値のある商品をご提供したいといつも考えておりますので、織ネームに連続番号や氏名を織り込むことや、高密度で絵柄を表現するなど、他とは異なる何かを探しています。

 

次がスマホクリーナー生地ネタの最後になると思います・・・。

お付き合いいただければ幸いです。

 

 

試作のクリーナー生地に弱点が見つかりました 織物の方向性

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ようやくたどり着いた試作クリーナー生地の弱点を見つけてしまいました・・・。

原因はジャガード織物特有の方向性が関係しています。

出口織ネームが作っているブランドタグやお守り、ミサンガなど全ては同じ構造の織機で製造しています。ジャガード織機で織り上げた織物は一般的に『ジャガード織物』と呼ばれています。
詳しくは『出口織ネームのジャガード織とは』のページをご覧いただけるとイメージしやすいと思います。

 

刺繍とジャガード織物の違い

織ネームのお問い合わせでもよく聞かれるのですが、「刺繍」と「ジャガード織物」の違いは、その作り方です。

sisyu01左の写真のように刺繍は基本となる生地があり、その生地にロゴや絵柄を追加して作ります。

ですので、生地の上に盛り上がったように絵柄が表現されているものが多いと思いますが、ジャガード織はベースの生地と生地に描かれる模様を同時に織りながら作り、一枚の生地になります。

当社には白色のタテ糸がセットされた織機と、黒色のタテ糸がセットされた織機がありますので、作成する生地や織ネームの色に応じて使い分けています。

ベース地も絵柄も表現するのは、数百種類あるすでに染色されたヨコ糸であり、様々な色糸を表にどのように出すのかがも、『織り方』になり、設計担当の腕の見せどころです。

もちろん、ロゴや文字の部分を少し盛り上げた織り方もできますので、刺繍っぽい雰囲気の織ワッペンなども製造可能です。

ジャガード織物には様々な『織り方』がありますが、
一部代表的なものは『出口織ネームの技術-織り方』をご参照ください。

そんな多くの『織り方』ですが、共通していることがあります。
それは、『タテ糸とヨコ糸が交差している』点です。
つまり、織り上がった生地には『タテ方向とヨコ方向』が存在します。
この『方向性』が今回のワイピングクロスにおいては、若干弱点になってしまいました。

 

開発中のワイピングクロスの弱点とは?

織ネームもスマホクリーナー生地も同じ構造の織機で織っていますので、
タテ方向とヨコ方向が存在します。

ネームタグなどと同じく、ヨコ糸がベース部分や絵柄を表現するのですが、
拭き取り性能を持った糸もヨコ糸です。

この糸が多く表に出るような織り方をすることで、「ズバッと汚れを拭き取れる」生地になります。
そして、最も汚れが拭き取れるのは、糸の方向に対して垂直に動く時です。
糸の長さ部分で汚れを引っ掛けて取るような感じです。

逆に糸に沿った方向に動かすと、汚れが糸に引っかからず汚れの取れ具合が悪くなることがわかってしまいました。

簡単な図で説明すると、下記のような状態です。

汚れが取れにくい拭き方

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このように、ヨコ糸に沿った方向の「ヨコ方向」に生地を動かして拭くと、汚れの引っ掛かりが弱く、若干汚れが残ってしまいます。

残った汚れは、1,2回拭けばほぼが消える程度の残り具合です。

 

汚れがきれいに拭き取れる拭き方

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このイラストのように、ヨコ糸と垂直(タテ糸方向)になる「タテ方向」に生地を動かすと、ズバッと強力に汚れを拭き取ることが出来ます。

出口織ネームのクリーナー(ワイピングクロス)』のページにある動画のように、
有名な大手クリーナー生地より拭き取れます。

とはいえ、拭ける方向と拭けない方向があるのは困るので、また『織り方』の研究です。
様々ある織り方をベースに拭き取り試験をして、可能な限り拭き取り性能が上がる織り方を見つけました。

現時点では、ひと拭きだと「タテ方向」の方が「ヨコ方向」よりも拭き取れます。
しかし、「ヨコ方向」ももう1,2回拭けば、しっかり汚れが消える性能を出せました。

この拭き取り具合はかなり自信があります!

あっ、また長くなってしまいました。
次回に続きます。

 

 

スマートフォンやタブレットの画面を拭き取るスマホクリーナー

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最近主流のスマートフォンや利用者が増えているタブレットの画面の汚れが目立ちませんか?
そんな画面を綺麗に拭き取るスマホクリーナー生地の開発をしています。

皆様はスマホでしょうか?

それとも従来の携帯電話をお使いでしょうか?

私はこの春にスマホデビューしたばかりの新人です。
それまでは、ガラケーとモバイルルーターとタブレットの3台を持ち歩いていましたが、ガラケーとルーターをやめて、ついに『スマートフォン』持ちになりました。

スマホにして気づいたのが、電話した後の画面の汚いこと!

大画面が便利なスマホでも汚れていたらちょっと見づらいですよね。
その画面を他人に見せるのはちょっと恥ずかしいです。

そこで、以前より当社で試作していた『スマホクリーナー』生地です!

 

スマホクリーナー(ワイピングクロス)の開発へ

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生地の開発をしたのはスマホが広く普及し始めた頃ですので、私の遅いデビューよりもっと前にスタートして、当社のサイトにもご紹介していましたが、改めて取り組みをスタートした理由を。

 icon-check3-r ティッシュやハンカチでは拭き取れない
 icon-check3-r 市販のクリーナーは無地ばかり
 icon-check3-r 汚い画面はスマートフォンにあわない

というような理由からワイピングクロスの開発が始まりましたが、幸いなことに私たちの希望する糸を作ってもらえることができた点がこの商品実現の大きな要因でした。

使用している糸は本来別の用途で使用されている糸を特別な加工をしていただいて、拭き取り性能が高く、糸の色も要望に近いものが出来ました。

 

クリーナー生地開発で困ったこと

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糸が手に入ったので、試験的にデザインを入れた生地を織ることにしましたが、そう簡単に出来るはずがありません。

多くの色が入ったデザインにする、生地がとても厚くなり、絵柄を細かなデザインのものにしようとすると、糸の太さの関係で表現できなかったりと、なかなか納得できるものができません。
新しいモノを作るときは当然ですよね。

 

生地開発で困ったこと1 生地の滑り具合と拭き取り具合

最初の試作生地で汚れた画面を拭いてみました。

かなり拭けます!

というより、拭き取り性能が強すぎて、生地が画面やメガネの表面に食いついて動きません・・・。
指の方が滑ってしまって、指の表面の方がきれいになりそうです。

そこから、織り方を何通りも変更し、程よく滑って汚れの拭き取りも十分という織り方を探し続けました。

 

生地開発で困ったこと2 生地の切り口

「ズバッ」と拭き取れる生地はできました。
拭き取るのにちょうど良いサイズも見つけたのでカットしてみると、「切り口が痛い」んです・・・。

糸はポリエステルなので、ハサミで切るとパラパラとほつれてきます。
ほつれないように熱で切断することが織ネームでも使う方法なのですが、生地が厚いため、熱で溶かしながらカットすると溶けて固まった糸が硬くなってしまいます。

触って痛いのも困りますが、それより拭いたことで画面に傷が付くのが心配です。
カット機の使い方をいろいろ変更して、「痛くない・ほつれない」切り方を探しましたが、これまた難しい・・・。

 

生地開発で困ったこと3 生地の厚み

熱でカットする方法を試行錯誤しながら、生地の試作も続けていました。

生地が厚いとメガネレンズと鼻あての隙間部分が拭きにくいという意見もありましたので、薄い生地も試作しました。

glasses01 写真引用:J!NS

この時にただの生地ではなく、”拭き取れる生地を使ったスマホクリーナーグッズ”の開発もやってみたいと考えていました。
(この『グッズ』については、また別の機会にご紹介できればと思っています。)

この薄い生地を試作した時に見つけたんです!

「痛くない・ほつれない」切り方を!!

カットの方法も大事ですが、生地の厚みも影響があるということがわかったので、
今開発中の生地はどれもちょうど良い切り口なので、痛みはほぼ無い状態にできました。

なんとか「痛く無い切り口でほつれない、よく拭き取れる」生地が出来上がりました。
用途によって厚みを変えることもできますし、拭き取り具合も強力なものから、弱いものまで調整して作ることができそうです。

切り口の件は、1つの方向からだけではなく、別の視点から取り組むことで解決することがあるという体験も出来て、とても良い経験になりました。

ちょっと長くなったので、次回に続きます。

 

出口織ネームの商品一覧に折り紙のように折りたたんだワイピングクロスのページを追加しました。
その名も折り紙ならぬ『折り布』です。
  ・・・・・・。
「もっといい名前がなかったのかねぇ。」という声が聞こえてきますが・・・。

名前はいまいちですが、スマホクリーナーとしての性能は最高です!
 ⇛出口織ネームが開発中のスマホクリーナーのページへ。