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うんちく
【うんちく20 梅紋様のゆえん】NEW!

 ミサンガに梅紋様をあしらってありますが、そのゆえんをご説明しましょう。
 梅といえば、そう、学問の神様、菅原道真を祀った天満宮の社紋なのです。 道真候(845〜903)は、学者の家系に生まれ、18歳で律令制度の科目のひとつ「進士」の試験に合格、23歳でさらに上級の「秀才」に合格して文章(モンジョウ)博士となりました。この国家試験は八世紀から十世紀にかけてわずか六十五人しか合格しなかったという超難関の試験だったそうで、その才を遺憾なく発揮して順調に出世し、55歳で右大臣に上り詰め、学者、文人それに政治家として多方面の卓越した能力を発揮した人物でした。この事から「学問の神様」「受験の神様」と言われる事になったのは、なるほどとうなずけます。 しかし、その異例の出世が、権力者藤原氏の激にふれ、延喜元年(901)に失脚し、北九州の太宰府へと左遷されてしまったのです。居宅の梅に別れを惜しんで

「こち吹かば 匂いおこせよ梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ」

と詠んで都を去ったそうです。その道真候の愛した梅が、あるじを慕って京都から太宰府に飛んできたという”飛び梅”の伝説は有名ですね。候は、太宰府に赴任して2年後に無念の思いを残しつつ亡くなりました。門弟によってその墓所に立てられたのが太宰府天満宮で、候が愛でた梅を社紋としたのです。外にも北野天満宮、湯島天神、亀戸天神、防府天満宮など天神様をお祀りする神社(参考資料:梅花紋のある神社)は梅を社紋として用いています。

 ところで、大河ドラマ「利家とまつ」の加賀百万石前田家は菅原道真の子孫を称しています。その系譜には幾つかの説がありますが、いまだ考証の待たれる所のようです。
梅鉢紋 梅星紋

 前田利家というと「加賀梅鉢」(剣梅鉢)が有名ですが、利家の時代には「星梅鉢」と五七桐紋という紋を使用していたと言われています。太閤秀吉から授かったという五七桐紋は余り使わず、むしろ星梅紋に統一しようとしていたようです。後に加賀藩内をはじめ各地に建立したたくさんの寺社に梅鉢紋が使われていることからその力の入れ具合がよくわかります。
 そして加賀の支藩である、大聖寺藩や富山藩は細部を変更した独自の「大聖寺梅鉢」「富山梅鉢」を作っています。さてどの梅鉢紋の効能があるのかそれぞれの神社を訪ねてみるのも方法かもしれません。霊験あらたかで夢がふくらみそうですね。

<参考文献>
 ※家紋大図鑑 秋田書店 監修:樋口清之 著者:丹羽基二
 ※家紋逸話辞典 立風書店 丹羽基二

【うんちく19 由水工房作品】
壁画『加賀とびの図』

 第二代由水十久氏から、加賀屋(渚亭)さんに納める壁画を織物で作りたい。ついてはその打ち合わせに行きたいのでとの連絡を頂いたのは1月の事でした。
 由水さんの作品では以前にも1.85mx2.2mの大きさのものを織り上げていましたので、簡単な気持ちで「はいどうぞどうぞ」と返事しました。

 幾日かして、寒風の中を質感のあるずしりとしたコートとマフラーを身に付けたご本人が黒の大きなデザインバックを手にして来社されました。同行された奥様も濃い色目のシックな装いで、お二人からは感性の豊かさが溢れているように感じました。

 デザインバックから取り出されたデザインは氏独特の童子画で、気品の高いものでした。
 話が進むうちに今までよりかなり大型で1900mmx7600mmの大きさになることがわかりました。使う糸も特殊な糸で、織りにくい糸選びをされるので、さて困ったものだとの思いがその度に巡りましたが、選ばれる糸が「おっ」と思うようなものだったので、作品が作られる過程のその瞬間に立ち会えた感激で、これからの作る辛さを忘れてしまったものでした。

上写真:金の糸に、赤いふしが見えます。織られるとますます複雑な色合いに。

 ふしがあるものや、太さに差がある糸どこかに(糸を巻く事からそれは始まる。巻いた糸を解除する時に糸同士の接触が起きる。織機の糸が運ばれる経路やたて糸の開口した間に引き込むときの掴む部品への接触でも起きる。たて糸の間を通過中のたて糸との接触からも起きる。等々)接触する度に抵抗が起きるのです。
 ふしのあるような糸は特にゆるんだり、引けたりして織物の欠点になりやすいのです。
 大きな作品になると生産時間が長く、不良品が発生する機会がとても多いので、接触ムラの起きないような調整準備に時間がかかるのです。また製織中も気を張り詰めていないと不良が出来やすいので緊張感で一杯になります。


 糸を作るのに4週間ほどかかりました。その間に織物組織の設計を進め、部分的に試作を繰り返しましたがましたが、なかなか上手く織れません。予想以上に手ごわい糸でした。ふしのある糸が1種類だけであれば何とかなったのですが、3種類もあったのです
 わが社の作り手のA君も社運を賭けた思いであったことでしょう。織り上げたときの表情に全てが汲み取れました。


 ああでもないこうでもないとやっていましたが、2004年 4月中旬に渚亭の3階に設置されました。お立ち寄りの節にはどうぞご覧ください。
渚亭は他にも各ジャンルの有名作家のコレクションが多く、まるで美術館のようです。


<ミニリンク集>
二代 由水十久氏について・・・加賀友禅のページより

【うんちく18  連続番号織込み技術】
連続番号織込み技術

【その1 織物に連続番号を入れることが可能になりました】

ワッペン 小は織ネームに1.5mm角の大きさから、大は幟に1800x1800mmの文字までできます。その技術を応用すれば漢字や英文字だけでなく、写真画像まで連続して織込みが可能になります。10年ほど前からデジタル技術の応用に試行錯誤を続けてきました。それ以前からも原理的には可能な事でしたが、生産設備との兼ね合いでコスト的には実用的ではありませんでした。数年前に導入した最新型の織機を改良する事により課題が一挙に解決したのです。

 具体的に例を挙げて言いますと、上記の織ネームの下部に数字(110/110)が入っていますが、110個の中の110番目という意味です。もちろん001/110から始まっています。まず001のものを織り上げたら次に002という風に順に織り上げますので同じ番号のものがないわけです。不良が発生したらその番号のみ作り直しになります。初めのうちは何度も作り直し、不採算状態でしたが最近は問題がなくなりました。

 このような方法で既に幾つもの有名ブランドに採用されています。特定のお客様に限られた商品の提供が目的のようです。番号が入っている分、各商品の各工程の番号管理やお届けした商品の顧客管理に気を使うことは並大抵ではない筈です。商品価格も一桁上の設定になっているようで、簡単に手を出せない、それくらい差別化された商品に使われているようです。「誰ですか、001/110の商品を中古ショップで手に入れたという人は?」なんて事が起きそうですね。

 これまではぼつぼつとオーダーを頂いてきましたが、気が付くと毎年企画が増え、そんなに作っては限定でもないのではと思う位どちら様も大変好調のようです。この不況時に特筆すべき現象なので、その企画の秘訣をぜひ知りたいものですね。

【その2 織物に個店名を入れることが可能になりました】

まち博フラッグ 金沢では「まち博」(活きたまちを舞台とし、まちで生活する市民が主役で、市民が「まちに出る、まちで遊ぶ、まちに学ぶ」ことからはじまります。金沢の旧市街地を中心とした地域を、10の区域に区切り、それぞれ特色を持った「パビリオン」と名付け、旧市街地の歴史的建造物や名所、ユニークなお店など約2000ケ所を「スポット」と認定しました。)が7月に開かれました。

 レトロなボンネットバスが伝統的な手仕事や美味いもの処を巡る足になっており、幾つかの施設では体験も出来るところから真夏の呼び物になった感があります。地元にいる人間でさえこんな面白い事があったのかと思う位の発見があり、暮らしの中にごく普通にとけこんでいる事にすごさを覚えます。

 各スポットにはフラッグが掲げられており、期間中にはいろいろなサービスもあるようです。
このフラッグの下部には名所旧跡、参加企業名や個店名が入っています。たった1枚しかない織物のフラッグです。伝統があふれる金沢にふさわしい質感のある仕上がりになっています。毎年配色と開催年度が更新されるので飾ったままにしてあるお店もあるそうです。

まち博フラッグ まち博フラッグ まち博フラッグ

 お客様にもこのイメージが定着したようで、これを頼りに訪れる人が多くなったようです。織物と言うと紫外線による色あせがあり、あまり評価されないところですが、弊社の使用している糸は顔料で着色しているので、かなり強く、3年を経過したものでもそう変化がおきておりません。

  布としての織り方や色の選択、大きさの設計も自由に出来る
ので、地域ごと、商店街ごとの催しや、お祭りののぼり旗などワンランク上の質感やオリジナル性をお求めになる時に最適です。

【うんちく17  イラストレータデータでのミス!】
今だから語れる、Web通販のこぼれ話

 ある日の事、いつものようにメールを覗くと、新規のお客様から注文書が入っています。ワクワクしながら、どんな仕事だろうと思いながら、読み進みました。
 新進?のデザイナーさんで、ご自分の作品に使用されるとの事。どんなデザインをされているのだろうか、 早速添付ファイルを開いてみましたら、あれっ、おもしろいけど手書きのデザインではないですか、ああ、これでは見積り通りに作れない、イラストレータデータに直していただこう。

 その旨を書いていざメール。半日ぐらいしてデータが届いたので、早速仕事にかかり、一件落着。一丁上がり。

 10日後に商品が織りあがり、デザイン、織組織、規格等確認をし始めると、なんだか変だ、ロゴがハッキリしない。いや読めない。あわてて保存データ等調べるが、指示通りになっている。単に配色の対比だけの問題でした。

 けどこんな商品、黙って送るわけにはいかない。

 早速お客様にその旨をお知らせする。明日そちらに行きますとの事。ええっ!
 このとき初めて電話でお話。 実はこのお客様は松任市の方、こんなに近くにいてメールだけの商談。なかなかネット馴れした方のようです。

 翌日いらっしゃったのは若奥様風の美女。会社の連中皆ビックリ、その余韻が納まらないうちに、読めないのは、狙い通りで、OKですって。本体が負けないようにする為であるそうな。

 へえーと思っているうちに、「けど」とおっしゃる。「書体が違うんですけど」との事。

 調べるうちにミス発覚、イラストレータの場合、書体に対しては「アウトラインを取る」という作業をしないでデータを送ると、送られた側のパソコンに、対応するフォントがないと、収蔵中の近いフォントに変換してしまうのです。そういえば、予告文がある時にはいつもチェックしてたのに、ああ、忘れていた。

  恐る恐るお詫びすると、「いえいえそれは私が初心者のせいです。このまま頂きます」と、またなんと人間味のあるお言葉。深く反省して、面白そうなサンプルや話題などなど、いろいろご提供。

 お帰りのあと、年配の女性社員がひと言「美人は得だぁ〜」

【うんちく16  にせもの防止技術のあれこれ その2】
にせもの防止技術のあれこれ その2

  カメレオンやカエル、雷鳥やうさぎなど環境にあわせて体の色を変えてしまう生き物がたくさんいますが、の中にも温度によって色が変化するという変わりものがあります。

下部の白色が加温した部分

20度まではオレンジだったものが、それを超すとだんだんと色が薄くなり、35度になると白に近いピンクになってしまうという代物です。もちろん20度に戻すと元の色に戻ります。(右画像参照)


  この手のものには変化する温度領域や色がいろいろあり、この性質を利用して常温時(25度)までは白だったものが冷却あるいは加温すると文字が浮かびだすという仕掛けをして、製造責任番号を埋め込んである織ネームを作った事があります。


  また紫外線を照射すると発光し、ラインなどのデザインが浮かび上がって見えるという糸を使った織ネームもあります。もちろんブラックライト(紫外線発光ランプ)なしでは見えません。


  この他にも、
  (1)デザインに使う糸に市販されていない特殊な色糸を使う
  (2)織物の組織を解析出来ない組織にする
  (3)デザインの一部に隠し記号を入れた織り方をする
  などなど、色々と方法があります。

 あの小さな生地の中に誰にもきづかれずに仕掛けられているなんて、なんとマニアックな事でしょう。そういうものを作りながら、どうしてここまでやらなきゃいけないの、とつくづく思います。

  それほどに偽造品に対して神経をとがらすのは、繊維製品は比較的に簡単に真似る事が出来るからです。

  それもそうです。なぜなら原糸メーカーは特定のアパレルメーカーだけに生地を売っていては売上にならず、同じものを何社にも売るからです。染色工場も特殊な技術を特定の企業のために使っていても売上になりませんから、販路を広げます。おおよそこれらのルートをたぐれば同じものが出来るという次第です。

  そこで勢い、織ネームでブランドを強調、差別化するのですが、それをまた偽造する人達がいるのです。我々織ネームメーカーに対しての発注はアパレルメーカーではない事が殆んどですから、見本を持ち込まれれば、深い疑問を抱くことなく製造します。偽物の織ネームの誕生です。

  そんな事では困るのは発注者ですから、我々に「織ネームに仕掛けをして、偽造防止せよ」となるわけです。ある意味責任回避・自己防衛本能からかも知れませんね。こんなにマニアックなのは・・・

【うんちく15  にせもの防止技術のあれこれ その1】
にせもの防止技術のあれこれ その1

 偽造防止技術はお札に始まって、お札で終わると極言する人がいますが、織物の世界でも偽造を防ごうとする考え方が昔から盛んです。お札みたいにそれを偽造したからといって法律で罰せられる訳ではありませんので、さる国の皆さんやりたい放題、困った事です。


 真似をしにくい技術にはレベル差があり、コスト的に真似をしにくいというレベルからどうして作ったのか解析しにくいというものや、織物の要素以外の組み込みまでいろいろです。


 ルイヴィトンの生地には耳部分(生地の両端末)にロゴを織り込むという手法が取られております。機械設備をそのようにしなければならず、どの機械でも生産できない仕組みにしているのです。これでも作る側からすると結構やっかいなんです。

偽造防止の工夫がされた、ヴィトンの生地。

 織ネームにも随分と工夫されたものがあります。フィラのネームなどその典型的なものです。デザインとして一本の銀糸が左右に一本ラインとして織り込まれているのですが、実はこの0.3mm巾の銀糸テープに「FILA」の文字が連続的にプリントされているのです。もちろん肉眼でこれを発見できる人はあのモンゴルにもいないでしょう。誰も気づかないようにしてチェックしているのです。織る上でもテクニックが必要で、しかも高価な銀糸で、印刷技術は一社の独占ですから、一番効果的な方法かも知れません。

FILAのロゴの下に銀糸のステッチ。連続模様は見えないですね。

 この技術を導入したブランドが日本でも販売されています。「FILA」ではありません。
 どこかで銀糸ラインのある織ネームを見つけたら、ご自分の眼力(視覚力?)をお試しください。見えたら大したものです。あなたの視力は間違いなく5倍ズーム??です。

【うんちく14  機能性色素とは その3】
色素の殺菌・殺虫効果やその有害性

  昔からの生活の中で、伝統的に脈々と受け継がれてきた知恵にはいろんな習慣があります。それほんとかなぁ、と思うような事でも、科学的にきちんと検証されている事が多く、驚きの連続です。

無農薬栽培のハーブ シソの葉には防腐、殺菌の作用があり、梅干しの着色料などに用いられておりますし、刺身にアオジソを使う事をし始めたのは、アニサキス(アジ・サバ・カツオなどに寄生する条虫)を殺虫する作用がある事を知っていたわけで、それを一体いつ知ったのでしょうか。
 べと病、さび病、うどんこ病に効く殺菌剤として、つくしの液汁を作り野菜にかけていた話を聞いた事がありますし、年長者にプレゼントする品には紫毛布がありました。この紫色の毛布には抗菌効果から、健康で長生きできるという言い伝えがあります。

 ローマ人はラベンダーの消毒効果を知り、浴槽に入れて沐浴し、戦いの後の創傷をこれで洗ったり、イヌの咬傷の消毒をしたりしたそうです。殺虫剤としても有名で、ガをはじめ、いろいろな昆虫を寄せつけません。また、血圧を下げ、心拍を鎮め、不眠症を効果的になおすことは長い間知られてきました。 このほかに痛みを和らげる特性があるため、筋肉の痙縮をなおすのに有効です。捻挫、筋ちがい、リウマチの鋭い痛みにも効きめがあります。気管支炎、喘息、カタル、かぜ、喉頭炎、および咽喉の各種の感染症や、吐き気、嘔吐、疝痛、鼓腸にそれぞれ役立ちます。
 新しい細胞の成長を促すとともに皮脂の分泌のバランスをとる効果を示す作用がありますので、肌の状態を良好にします。やけどと日やけのしすぎをなおす力がある事も有名で、ヨーロッパでは万能薬として生活の中に根ざしています。

 これだけいろんな効能があると、日本の女性が夢中になるのも無理ないようですね。弊社では本物のハーブの実を入れたポプリ(ポプリケット:無縫製のジャガード織物)を販売しています。ポケットに入れたり、バックに忍ばせたりして健康の香りやジャガード織物の面白さをお楽しみください。


 反面、植物性のものは動物性の食品に比べ健康によいものばかりだろうと思い込んでいると決してそうでもなさそうです。わらびに含まれるブタキロサイトは乳癌や膀胱癌などを高率で発症させるといわれますし、もやしやキク科、マメ科、ムラサキグサ科などの多くの植物に発癌物質が含まれているといわれています。
 玉ねぎなどのネギ類を食べ過ぎると、玉ねぎ中毒による赤血球の溶血性貧血が起きま す。奇妙なことに、玉ねぎ中毒による赤血球の溶血性貧血を「血液をサラサラにするので、健康によい」と、あるテレビの健康番組で報道した事に対して、物議をかもしていましたが、食物には有益性と害の両面があるとの事ですから、食物はいろんな種類を偏らず多くとる事が肝心のようですね。

 うちのばあちゃんの一言「好き嫌いは万病のもと」、今になって思い知りました!

色に関する引用・参考文献
「色材の小百科 染料から機能性色素まで」 江崎正直著 工業調査会(1998)
「色のおはなし」 川上元郎著 日本規格協会(1992)
「色と光の100不思議」 左巻健男監修 東京書籍(2001)
「色の雑学事典」 岩本知莎裟土著 日本実業出版(2001)
[天然色素性状一覧]

【うんちく13  機能性色素とは その2】
色いろいろ「機能性色素とは その2」

  いきなりクイズ。この3つの食物に含まれる、健康に良いと言われる色素は何でしょう?

梅干しの鮮やかな色の素
シソの葉に・・・
艶やかな茄子の紫 黒豆の黒にも含まれます!

  ・・・こたえは今回のウンチクに書かれています。ではお読みください。

  この頃は、新聞やテレビ、或いはちょっとした講演会で、食品による健康の維持・増進のお話がさかんで、面白いニュースをたくさん見聞するようになりました。その中に、色に意外な効果がある話も含まれれていました。一つ二つご紹介しましよう。

  人間の体の機能を老化させたり、癌化させたりする生活習慣病に深くかかわる体内物質として、「活性酸素」というものがあります。それは鉄が酸化してできるサビのようなもので、体内で使われずに残った活性に富む酸素が都合の悪い働きをするのです。この活性酸素を取り除く働きの事を抗酸化機能といい、その効果が色素にあることが注目されているのです。

  なかでも、フラボノイド系色素は植物界に広く分布し、その構造からアントシアニン系、カルコン系、フラボン系、フラボノール系、オーロン系に分けられ、中でもアントシアニン系が最も注目を集めているようです。アントシアニン系色素は赤〜紫色をしており、赤キャベツ、シソ、紫コーン、ブドウ、ムラサキ芋、ブルーベリー、黒豆などに含まれています。

  この色素は活性酸素の生成を抑制し、肝機能を向上させ、血液をきれいにすると説明されています。なかでも人間の目の働きを良くする効果に特筆するものがあるようです。第二次世界大戦中、夜間出撃の時、ブルーベリーのジャムを常食していたパイロットだけが薄明かりのなかでも標的が見えたという逸話が残っており、それがきっかけで、イギリスでのブルーべリーの色素の研究が始まったそうです。

  日本でも、植物色素研究者がアントシアニンを中心とした植物色素研究会をひらいており、宮崎で開発されたイモ「アヤムラサキ」に含まれる赤紫の色素は、特に強い抗酸化機能を持っていることが発表されました。

  今売り出し中の加賀野菜のなかでも、金時草やヘタ紫茄子がそうで、紫色の古代米にも含まれているこの色素は目の網膜の明るさを感じ取る機能を刺激し、目を見えやすくするそうです。

  だけど、眼がよくなるからって、芋ばかり喰ってると、シモジモで抑制できない香りの問題が起きますし、茄子ばかり食べていると、茄子には体を冷やす働きもあるので、冷え性になって子供が出来なくなりますよ! え?もう用がすんでますって??

健康食品に興味のおありの方、ご参照ください。         
★「GLNからこんにちは」ホームページ
「海外薬用植物」

【うんちく12  機能性色素とは その1】
・・・たとえば石川の伝統産業「加賀友禅」にも、その作用が活かされています。
友禅の下絵を描く。 加賀友禅の、彩色の様子。 水洗いして干した加賀友禅。何度か洗います。
下絵。青色で描きます。
この青がポイント!
加賀友禅の彩色。 何度も水洗いします。
浅野川でも友禅流し
やってますね。
・・・さて、機能性色素とはいったい何でしょう。

 色は物の形とともに日常的に私たちの身の回りにあふれています。民族や地域や時代の違いによって、思いがけない感動や共鳴を受けたりしています。色素の定義は、「可視光を選択的に吸収しうる化合物や物体に色を与える物質」とあります。なんだか難しい言いまわしですね。

  要はものに色を染めることで、染められた色によって、受ける印象が違う事がおきる。色はそのような染色機能だけのものだろうと思っていました。ところが、科学の進歩とともに、いろんな発見があり、その機能が随分と多様であり、応用できる機能がたくさんある事がわかってきたのです。
  ふだん何気なく見ている色、ただ単に目に映っているだけと思っていた色に思いがけない効用があるようです。

  色の心にもたらす心理的効果については古い時代から盛んに研究されてきました。近頃では色彩心理学の応用をした建築物もふえています。

  レストランなどの飲食店では店舗の外装や室内の壁紙やカーテンには食欲を増進させるオレンジや黄色の配色が多く用いられるようになりましたし、病院の待合室には待ち時間を長く感じさせないために水色の壁紙を使い、書斎や、勉強部屋などには、まばたき率が減って眼精疲労に効果があるグリーンを使うのがよく、紫色は、中枢神経のバランスをとる働きがあり、心の浄化、 癒やしの効果から、クラブやスナックなどの業態に向いているといわれています。
  また紫色にはべつの効果がある事を知っていると、濃い紫色の外装のすし屋さん(金沢にありました。今もありますかね?)を見たりすると、人ごとながら、食欲の起きない色を使っているけど経営は大丈夫なのかな、なんて心配をしたりします。

  機能性色素という言葉を知っている人は、研究者か専門分野の人で、一般の人はなかなか耳にしない言葉だと思います。電子関連分野では、光、熱、電気、圧力などのエネルギーにより消色、変色、発色する色素や、物性変化をする色素を競って研究しています。情報記録、情報表示、情報記憶、エネルギー変換などの材料に利用するためです。光ディスクおよび高密度記録媒体用色素、インクジェット用色素などと言った方がわかりやすいかもしれません。いやいや、やはりわかりにくいですね。

  ではこれまで、どのような色の機能が掘り起こされてきたのでしょうか。一番身近な例として、繊維用染料として開発された分散染料の中でも、特に昇華堅牢度(135℃以上の熱が加わると、色が移染しやすくなる性質)の良くないタイプを利用したのが、熱転写型のプリントです。それはプリクラのヒットやデジタルカメラからTシャツにプリントできるというブームを起こし、大いに需要が伸びましたが、染料としての弱点はやはり、それらの商品にとっても弱点でしかなかったようです。

  もう一つ、小学生の頃に理科の時間の実験に使ったリトマス試験紙がありましたが、これはリトマスゴケという地衣類の色素を利用する事から始まったそうです。誰かが、タチションをしたところ、たまたまそこに生えていたリトマスゴケが、鮮やかに変色したのがきっかけと伝えられています。これはつけた液性が酸性かアルカリ性かによって変色するという性質を利用したものです。リトマスゴケは羊毛の染料でしたが、本来の安定性の必要な染料としてはあまり役に立たないものだったのです。

 友禅染めの下絵に使う,「青花」の技法は下絵に青色の色を使いますが、これはツユクサの変種であるオオボウシバナが原料で、酸性では安定でアルカリ性になると緑色になります。水で薄めると退色する特性があり,水で洗うと簡単に消えてしまいます。これを経験的に知っていた染色職人たちが,友禅染めの下絵用染料として利用してきたのです。ツユクサの色素コンメリニンの分子構造がわかったのが1983年のことだそうですから,昔の人の知恵って,すごいですね。
  その他にも、着色剤として役には立たなかったが、持ち合わせていた機能を利用したものとしては、光伝導性、半導体レーザ感受性、帯電性、エレクトロクローミック性、非線形性などの色素が研究されていると、ものの本には書いてあります。なんだか良くわからないですが、色が持ついろんな性質を利用したものです。

  そういえば、光が通過するか、反射するかによって色を感じるという事を教わった時に、波長が長い光しか吸収しないものがあるという事も教わりました。それが、800nm以上の波長の近赤外線を吸収する色素で、その性質を利用したのが光ディスクへの半導体レーザーの書き込み技術なんだそうです。
自転車の後部カバーやランドセル、ウインドーブレーカーなどの光の反射、明るいところから暗いところに入ると光る蓄光、紫外線だけに反応して光る色素。或いは触ると色が変わる温度の変化を感知する色素、そしてプリズムなど、その性質を利用したいろんな色素が盛んに研究されているようです。どうやら宝の山みたいです。

出口織ネームの糸加工機。 ジャガード織物の世界でもこれらの機能を生かした商品作りが盛んです。「出口織ネーム」でもそれらの機能を持った色素にバインダーを介して、練りこみ、コーテングなどの技術によって糸を作っているのです。
光触媒加工(酸化チタン等の抗菌、消臭、防汚作用)、抗酸化作用(シックハウス症候群予防などに効果)電磁波シールド加工など。

  見る角度が変わると、違うデザインになってしまうなどというセーターやドレスが出来たとしたら、あなた、買いますか?いや、それより角度が変わったら中身が見えるものを作って、ですって?えー??

「糸加工機」出口織ネームの生産設備。(上写真)
  通称、一本糊付け機(樹脂加工もできる高温処理可能機)
  これまでは、機能性素材を使おうとしても、糸の入手は難しい状況でした。
  「それなら自前で糸を作ろう」という事で用意した、おもしろい生産機です。

【うんちく11  古色の耐久性】
  本棚に並んだ書物の背は、いつの間にか色あせたりしますが、古代遺跡の壁画は、遙かなる時を経てその色を残しています。

 「古色」 とは、 時を経たことによって生まれる、趣のある色合いのこと。

能登の伝統工芸、輪島塗。
漆器の色は古色の代表です。
九谷焼。高貴な赤絵の色にベンガラを用いる。 格子窓が趣のある、鶴来町の「横町うらら館 」。約 170 年前に建てられた。

  「古色の耐久性」 …ハゲル・キエル・トレル・どうしましょう。

  はげるのは頭だけではありません。物の色だっていつの間にか剥げたり色あせたりしているのです。
「モナ・リザ」の頬の色や唇の色が 500 年経った今、色褪せており、色褪せていなかったらその評価が変わったかも知れないのです。今、私達の身の回りにある大半の物質の色はやがて何らかの影響によって失われて行きます。
  そんな中で 1 万 3000 年以上といわれる年月を経た今も、殆ど色あせることなく残っている色があります。これらは 無機系の顔料によって着色されたもの です。その中でも高貴な色である「赤」について調べてみました。  

  人類最古の壁画といわれているスペインの アルタミラ洞窟 のヤギ・ウシ・シカの絵や、中国の周口店山頂洞、日本でも縄文早期の東釧路貝塚や飛鳥の古墳の壁画などに彩色されているほか、土器や埴輪に塗られています。神社・仏閣でもよく見受けられ、時代劇の廓の格子戸や壁にもよく使われています。 九谷焼 輪島塗 などでもおなじみのはずです。きっと旅先での屋根瓦でも見た事もあるはずです。

  それは 酸化第二鉄を主成分とする無機系の顔料、「ベンガラ」 といいます。インドのベンガル地方で産出された事からその名の由来が始まったとされ、 弁柄 紅殻 などの当て字で書き表される事もあります。
  わが住まいする 鶴来町 には伝統的な町並みが少なからず残っており、旧家におじゃますると、ベンガラの赤壁と赤茶の柱でしつらえた、粋な小部屋や座敷があったりします。ふるい〜と言う感覚でとらえていた頃もありましたが、時の経過に潜む、話のあれこれには結構楽しめるものが多く、ものごとを知るほどに 「これは大切な価値である」 と思うように なりました。

  この顔料は 耐光性、耐候性、耐熱性が高く、化学的にも極めて安定で、他の顔料と併用しても変色せず、酸、アルカリにも安定で、油とも反応せず、安価で毒性もない ため、広範に使用されてきた便利な着色剤なのです。
 それは日本の古い民家にみられる 黒光りした重厚な柱や梁 にも使われてきました。
松煙・油煙との調合によって黒・焦茶色・茶褐色・赤茶褐色・赤褐色・赤などの色のバリエーションが作られ、また漆や柿渋とも混合する使われ方もされてきたのです。防虫・防腐効果が高く、商家や農家の家屋には今もその名残があります。

 今日では、 安価な工業製品にとって替わられ、その生産量は激減している ようです。
現代では手間隙のかかる建築手法が効率という名のもと消去され、ベンガラの塗りも手間隙の典型的な作業ゆえにほぼ消失しました。しかし世の中が安定し、ふと気付くと シックハウス症候群 など昔無かったような疾病が発生し、それらは現代建築のひずみがその原因にあることがわかりました。以来、 解決策がいろいろと考えられています。
  一方では伝統についての再考察がなされ、伝統的な建築様式を望む方向へも目が行くようになりましたが、まだまだコストから選択される事は少なく、ベンガラ塗りが復旧するのは生易しい事ではなさそうです。

 その他にもベンガラは化粧品の着色剤やガラス・宝石の研磨剤、磁気テープやフロッピーディスクなど身近なところでも使われてきたようです。 便利さ・安価さで評価されている のでしょうか。


 我が社で作る ジャガード織物 にも、用途によって使う事があります。

 1000 年という時間の単位を超えられるものをご希望されるお客様 がいらっしゃいました。
 「歴史的な教義書」を作られるに当たり、その表紙をジャガード織物でと依頼されているのです。
 染料の中にも優れたものはありますが、科学的に評価されていても時空を超えて実証されたものはまだありませんから、骨格になる色糸を実証されている 無機系顔料で構成して、試作 しています。

 いやはや、機屋にそこまで要望され、期待してくださるお客様がいらっしゃるのです。
 機屋も " 織り " だけの専門馬鹿では居られないようですね。気休めにベンガラで「いらっしゃ いませ」という文字を織り込んで、のれんにしておきますか。あと 1000 年会社があれば「どうだ」と言えるのですが、 1000 年命がある訳じゃあるまいし、それこそ専門馬鹿といわれそう?

【うんちく10 マイナスイオンの話】
  都会に住む人ほど田舎の生活に憧れがあり、田舎へ移り住んで、生活をエンジョイする人の例を見聞きする事が多くなりました。その人たちの行き先は、何らかのかかわりのある故郷へ回帰しているわけでもなさそうで、帰巣本能とも違うようです。

 そうさせる要因が何なのであるか何となく分かったつもりでおりましたが、近頃その大きな要因が生理的希求ではないかと思い出しました。それは、 マイナスイオン の働きを調べるうちにそう思うようになったのです。

 マイナスイオン とは 原子または分子を含む原子集団が 1 個または数個の電子を余分に持った状態 を云い、電子を失ったものをプラスイオンと云うそうです。

  都市部の汚染された空気、あふれる電化製品や、化学繊維、新建材などからは、非常に多くのプラスイオンが発生し、生活環境がプラスイオン過多の状態になっている事は よく言われますが、最近の調査では、家の外より家の中や会社ではプラスイオンが1.5倍、地下街では2倍多いそうです。

  プラスイオンが過剰な所にいると、静電気がたまりやすくなったり、気管や肺の粘膜が刺激されて喘息を引き起こしたり、交感神経が過剰反応するので、めまい、頭痛、神経衰弱、不眠、情緒不安定など精神的・肉体的な機能低下をきたします。

  マイナスイオンは血液の pH をアルカリ化するので、血がサラサラになり、更に自分の持っている電子を活性酸素に与え、細胞の酸化を抑え(老化を防ぎ)、病気になりにくい体質になるなど好ましい働きをするといわれます。

 自然のままが残された森や林での森林浴で、すがすがしく、気分が和らぎ、元気が出て来るのは誰もが体験されていることでしょう。マイナスイオンの効果がそれなのです。

 この事は 1905 年にノーベル物理学賞を受賞したドイツの物理学者フィリップ・レナード博士が「地球の自然環境の中で、健康によい マイナスイオンが最も多く存在する場所は滝壺の周辺 であり、 滝のしぶき にはマイナスイオン効果がある」とマイナスイオンの効果( レナード効果 といわれている)を発表した事によって、研究や実験が俄然盛んになって、現在ではそのメカニズムのほとんどが解明・実証されてきているので、その効果は決してまゆつばの話ではありません。

 マイナスイオンの発生を商品化したものには大きく分けて三つのタイプがみられます。

 電気的な発生方式には 電子放射式 コロナ放電方式 があります。
 コロナ放電方式では活性酸素、オゾン、窒素酸化物などの発癌物質や静電気、ヒドロキシルイオン等が少なからず含まれており、器具の劣化によるそれらの発生量の増加の欠点が指摘され、安全性が疑問視されていますし、電子式にしましても未だ検証が必要なようです。しかも家電製品で数百万個 / ccと表示されるマイナスイオン数は、これらの総数だそうで、うっかり出来ませんね。

 水破砕方式 は、使用する水の水質管理(水質が悪いと発生量が極端に落ちる)が面倒で、マイナスイオンの発生量が他の方式に比べ少ないと言われています。

 天然のイオン石 (β崩壊石:トリマリン、希土類鉱石等)から放出されるマイナスイ オンには、活性酸素やオゾンの放出が無く、有害成分を含まず、穏やかに血液に作用する為、安全性から注目されています。この鉱石を細かく( 0.3 ミクロン程度)砕くと、その結晶の両端にプラス極とマイナス極が生まれます。プラス極は宇宙からの電子を引き寄せ、結晶の中を通してマイナス極へと送り、放出する。この運動を繰り返すことによって、マイナス電子を永久的に流し続けます。
 しかしこの鉱石類は温度や摩擦・振動といった 外的刺激が加わらないとマイナスイオンの発生が期待できない といった弱点があります。時と場合によっては「ただの石の粉末」であるかも知れないという、信頼性に欠ける要因を持ち合わせています。

 弊社では特許申請された加工方法により マイナスイオンを常時発生する糸作り に成功しております。 身に付ける商品としまして、ショール・マフラー・ベストなどを予定しております。


 しかしながら、よく考えてみますと、生活の利便性を求めすぎるあまり、健康管理まで科学の力を借りなくてはならないとはなんと皮肉な事でしょう。レナード効果の高い所、得てして田舎になりますが、そこに居さえすれば、健康ですっきりさわやかでいられる事をからだは承知しながら、あたまは逆の環境を選んでいるわけです。

 さて豊かさの本質から考えてみると皆さんはこれからは一体どう考えますか?
それはそうと、何はともあれマイナスイオンの豊かな 白山麓・鶴来の郷へおいでおいで。


※参考文献 山野井昇著「イオン体内革命」

【うんちく9 安全でない安全の話】
 近代の漁業や農業では、化学肥料や農薬を大量に投入し、収穫量を上げようとする競争が続いてきました。その結果、土壌や水源、空気に深刻な汚染をもたらしています。それに長びく不況が起因となって物作りを海外に依存するようになり、安全の監視が不確かになっています。国内の企業も経済効率重視のあまり、安全重視のたがが外れてしまい、どこかおかしな世相になってきました。
 今、身近な問題としてBSEや農薬による安全を脅かすニュースがクローズアップされていますが、安全の問題は何も「食」だけではありません。「住」の安全、「衣」の安全にも否応無く、関心を持たされそうです。
住の安全には建材から発生するホルムアルデヒドやトルエン・キシレン・ベンゼン・木材保護剤・防蟻剤・可塑剤などに起因するシックハウス症候群が指摘されています。
 シックハウス症候群とは、居住者が建物が原因でのめまい、吐き気、頭痛、平衡感覚の失調や呼吸器疾患など体の不調を感じる事をさします。原因は、防腐剤、塗料溶剤、接着剤、木材保存剤、防蟻剤など建材やカーテン・クリーナー・芳香剤の中に含まれている科学物質が内分泌を撹乱するのです。弊社では抗酸化加工光触媒加工を施した商品開発をしてお客様にお届けしています。


 あまり話題になりませんでしたが、世界貿易センタービルの倒壊で強力な発癌物質であるアスベスト粉塵の大量発生がありました。アスベストは天然の鉱物繊維でスレート材、防音材、断熱材、保温材、吸湿材などの建材やブレーキライニングやブレーキパッド産業用はもちろん、家庭用ヘアードライヤーなど広く普及してきました。先進20カ国では既に使用禁止になっていますが、わが国では吹き付け建材としてのみ使用禁止になっているだけで、ロシア、中国についで第3位の消費国で、法の規制も無く、いまだに何かに使われているようです。何に使われているか大いに関心を持たなくてはなりません。
 アスベストを含む建物の取り壊しのピークは、2010年から30年頃とみられています。空気中に粉塵が飛散し、飛散したアスベストを吸入すると肺が繊維化するアスベスト肺・肺がんや悪性中皮症(腹膜などのガン)になる可能性が極めて高いと報告されているのです。知らないでいると大いに被害を受けそうです。


 電磁波についても、まだまだその被害概容が明らかになっていませんが、パソコン・携帯電話・PHS・電子レンジは身近にありますし、中継用の基地局・高圧線から発生している電磁波も減ることなく増え続けています。対向車でキセノンヘッドライトに出会うことがありますが、これは放電による光であり溶接光と同類の性質なので目には決してよくはありません。道路の舗装に使われているアスファルトも同じで、スパイクタイヤの使用規制がありましたが、このように産業に影響する?事に対する規制の甘さはある意味では心配な事です。
 ダイオキシンは、有機物と塩素化合物が燃焼する際に生成する物質です。この物質は、 産業廃棄物処理場やゴミ焼却場での発生について関心がもたれる場合が多いわけですが、体内に 蓄積する経路のほとんどは、食べ物を通じてと言われています。変な話ですが、火葬場の施設改善がされてきたなんて、我々には知る由もないことですが、それを聞いて、ああそうなんだと思わざるを得ません。

 
 皆さんは漠然と化学繊維より天然繊維が安全だと思っていらっしゃるでしょうが、実は今、コットンが危ない?のです。大量生産するために農薬や化学肥料が多用される上、収穫時には枯葉剤、染色(発ガン性が懸念されるアゾ系染料や界面活性剤が結構使われている)や脱色やその他の加工時にも化学薬品が使われます。まさに「薬品漬け」に等しい綿製品が多いのです。

繊維の主力生産品目であるポリエステルを染める分散染料もアゾ系染料が大半を占めます。今では少なくなりましたが染色助剤のキャリア剤なんて、肌荒れでひと騒動した事もありました。安全管理のしっかりした物作りが果たして規制の甘い国々で出来るのでしょうか。こんな科学の進歩した国でも危ういのですから。農薬や化学薬品は、環境を害するばかりでなく、生産者の人々や、製品を身に着ける私達の健康も脅かしているのです。出口織ネームでは問題解決に向けてこちらのように対策しています。

 
 エコテックス規格100は、繊維製品に残留する*有害物質に対して規制値を超えないなどの基準を満たした製品に対し、エコテックス国際共同体(本部:スイス・チューリッヒ)により「人体に危険を及ぼすレベルの有害物質は含まれていない」という保証が与えられる制度です。製品が認証の条件を満たすためには、生地の他に縫い糸や芯地、ボタンなどあらゆる付属品を対象に、アゾ系染料、発ガン性、又はアレルギー誘発性染料、農薬、塩素系フェノール、等100項目以上の試験項目をクリアーすることなど厳しい基準が設定されています。
 日本でも2000年4月から「エコテックス」の認証制度が始まりましたが、国による法律上の規制がないために、認証を受けていない衣料品は広く流通しており、消費者がその製品にアゾ系染料が使われたかどうかを知る術はありません。(弊社では既にこのような染料による糸の仕入れは避けています。)
 
 
 このような事ってこの他にもまだまだあるんですぞ!くわばらくわばらなんです。


【うんちく8 いい気なもんだぜ、機屋のおやじ】
 言葉遊び 三の巻き

 物事を真剣に考える?と疲れるので?何かに、よりどころを求めたくなるのは今も昔もどうやら同じらしい。見回してみると「三」の数字のついた諺や言い回しが結構多い。どうも数字の力を借りて、そのせいにしてると、この世は住みやすそうだ。

  「女人よれば姦しい」 「亭主杯、客一杯 嫁は、隠れて二十杯」(酒) 「美人は日で飽くが、醜女は一週間で慣れる」などとうちのカミさんが聞いたら向こう軒両隣の助っ人を引き連れて、百円ショップで買った竹ホウキを振りかざしてきそうな気配です。

  「女界に家なし」 「年子無きは去れ」なんて出てくるとそれこそ、目が角になって、そこいらにある茶碗のつや四つは空中からこちらへまっしぐら。なんてのはもう死語に等しく、「それって何よ!カイショ無し」と一喝されてチョン。

  そんな訳で「石の上に年」(座り続ければいつか暖まる。根気よく続ける大切さ)慣らされて、つ子の魂百まで」(幼少時の性質は年老いても変わらない)よろしく、「桃栗年 柿八年 柚子の大馬鹿十八年」(結実までの年数)のゆずの気持ちが良くわかる年代になっちゃった。

  近頃は早起きは「文の徳」(早起きすると良いことがある。三文とは僅かのお金のこと。)と心得、近くの畑に春早くから日参、だが「春に日の晴れなし」(春の天気は不安定)とばかりに空は荒れ模様。しかし土から顔を見せたばかりの、雨に打たれて輝く若芽たちとの出会いがあれば、我が身を忘れ、至福の時を頂けます。

  帰りたくない帰りたい、我が家に戻り、さっそくの天の恵みを頂きます。採れたて食材は少々腕が悪くとも?美味しく頂けます。ついつい、「だらの杯汁」(三杯もお代わりする無礼)をしようと汁椀を差し出すと、身を案じてか、損得勘定働かしてか、三つ指ついてた?あの方が、お代わり拒否のしぐさ。

  こうなると 度の飯も強し柔らかし」(毎日の事さえうまくいかないのだから、世の中のことはなおさらだ)だけど、折角の春の恵みなのにと思いつつ、隙を見て、手を伸ばそうとすると、だめなものはダメなのよと、目でサイン。それでも懲りずに催促すると「無理は度"仏の顔"も度」(無理の我慢は3回が限度、それ以上はおとなしい人でも怒る)とキツーイお言葉。こんな調子で朝から出鼻をくじかれ会社にお出かけ。私の仕事は織物屋。今抱えているのは重織物。俗に言う風通織(ふうつうおり)。(ポプリケットは風通織のひとつです)節結しない所に袋状の隙間が出来るから風通という、実に妙を得た言い方。パソコンなる現代の種の神器」があればこそ出来る織り方、それでも無い頭を悩ませる事多し。

  縦の糸、横の糸、それぞれに色がついて、こちらの此処に使うと其処には使えない、三層の此処にはあれ、此処にはこれ、ではこの色は何処へやれば良いの、行き場なし。ではどうする。むむ〜む。思わず隣席に、これってどうするの、と尋ねると、うーんと唸ったきり。人よれば文殊の知恵」(凡人でも三人集まればすぐれた知恵がでる)とは中々いかないのだ。

  それでもどうにかまとめたつもりで試し織り。暫くして、織り場から込み入りすぎて織れない、糸が切れた、どうにもならん、と苦情の知らせ。ではと、半時後に修正のものをデータ転送。再び、まだダメよの知らせ。
  そりゃ変だ、と現場を見れば、肝心な糸の太さが太すぎる。これでは密度オーバーになる、替えてよと言うと、不満そう。再び半時後、今度は織れたが柄行きが変だ、の叱声。見れば確かにそうだ、間違ってる、平身低頭。今度こそと修正、暫くして、まだ変だの大声の知らせ。やっぱり上手くいっていない、ああ〜。意を決して気合を入れる。そして、今度こそ大丈夫とひと声かけて送ったら、「二度あることは度ある」んじゃないの、と返された。ひと声多かった。

  そんな訳でジャガード織物作るのも楽じゃない。

  人の気持や、使う材料・機械が位一体」で、みんなの知恵が本の矢」とならなければうまくいかない事必定。でないと、この責任誰が取る。ああだこうだ言って隣亡」(大凶日)。こんなこと得てして起きるから言葉の意味が重い。つまるとこ、年先の稽古が足りない」って事か。

【うんちく7 流されすぎだよ機屋のおやじ】
  物事を真剣に考える?と疲れるので?何かに、よりどころを求めたくなるのは今も昔もどうやら同じらしい。見回してみると「一」の数字のついた諺や言い回しが結構多い。それなら数字の力を借りて、そのリズムに乗れば、言い訳しながら楽しくやれるんじゃないだろうか。と、考えたがさて如何なものか。

  その昔、兵隊さん、外地から帰ると、戦争負けて住むとこない、喰うもの無い、着るもの無い、ないない尽くしの裸一貫。すがるのは神や仏じや間に合わない。つ釜の飯を食った」戦友頼り、片道五里、チャリに乗って一年半、戦友に機屋の教えを請う。事が万事」素人で、「起きて半畳寝て畳」こんな生活何時までよ、とぼやかれ続けたが、「浮世の苦楽は壁重」と励まし言い聞かせ、旗揚げる」気概持つ。

 時は流れ、朝鮮動乱、景気の波を引き起こす。その頃に攫千金」得たもの多し。ガチャマン長者と言われたものだ。それは、織機が横糸一本ガチャンと打ち込むと、一万円儲かったと云うたとえ。たとえは大げさなもの多いが、まさにその通り。 
  けど、それ程でなくとも背戸に蔵建てた者多し。何時の世も、それで良しとを知って二を知らず」あぐらをかく者と、よく学び、よく遊びを聞いて十を知る」者がおり、時を経て、その差は歴然。我が先祖伝来の血は争えず、先の者の如し。
 それではと、「聞いた百より見たつ」から、「聞くは時の恥、聞かぬは生の恥」と心得、つよければまた二つ」と技(わざ)積み重ねれば、繁栄の時も来よう。「ローマは日にして成らず」と言うではないかと思い直す。

  やがて運良く引き二才三学問」(出世に必要なもの)の「引き」に出合い業績好調。さていよいよこれからという時にバブルの泡が吹っとぶ。それからも誹二笑三惚四風邪」(くしゃみの数占い)の出来事あり、なんだかんだと時が過ぐ。やがて後継ぎ力つけ、葉落ちて天下の秋を知る」(僅かな現象を見て、その将来を予知すること)なんて事、何時でも出来ると思いこみ、「板子枚下は地獄」の気概を持てば不可能は無し。
  その心意気で事を進めれば、「親の意見と茄子の花は千につも仇はない」とか、文銭で生爪はがす」とか寸先は闇」だなんて集中砲火、か八か」の決意も揺らぎ、つまるとこ「大山鳴動鼠匹(たいざんめいどう-)」(前ぶりは大きいが、大したことは起こらない)出ず。未だに「十年昔」の如し。

  そのうちアジアに地殻変動あり、どこかの国が世界の工場となる。パソコンフル装備の電子ジャガード引っさげて、これでもか、これでもかとジャガード織物の商品開発まっしぐら。石を投ずる」も価格破壊の波高し。多勢に無勢で逆らいがたし。この大波は湘南のサーファーも仰天だ。荒波は乗っても乗っても退」。どうすりゃよいかは正直な気持ち。

 だが待てよ、升徳利こけても三分」残る (無駄づかいしてもいっこうになくならないこと。)というではないか、それなら人の文殊より三人のたくらだ(たくらだ=愚か者の意)」の知恵を真似、「村雨(ひとむらさめ)の雨やどり」と洒落、次なる富士二鷹三茄子」の兆しを待つのも手ではないか。種二肥三作り」のうち何かに活路がうまれ、奴さんたちにも「鯛も人はうまからず」の日が来よう。そう考える日々もありかな。否、文呑み(文惜しみ)の百知らず」(目先の僅かな損得にこだわり、全体の利益に考えが至らない愚かさのたとえ)かな。さてどうだ。


【うんちく6 機屋さん勘違いしてまっせ】
 昨今の景況から、どんどん機屋さんが無くなり、繊維産業って不況業種の典型的なものだと思ってきました。当事者としてその体感の凄さには語り尽くせないものがあります。

 ところが、ジェトロから出た資料をみていると、世界をリードしているヨーロッパの繊維の景況は全くそんなことは無く、むしろ活発な設備投資をし始めていると言う報告書があるではないですか。「うそ〜」という感じで読んでしまいました。

  まず1990年と2000年における世界の繊維生産の動向をみてみると、この10年間、綿はほぼ横ばいですが、ウール-27.3%・セルロース繊維-16%と、大幅な減少が見られます。これに反して、合繊生産が79%増の爆発的な増産がなされ、全体で27.2%も増産されているのです。一体どこで誰が何をそんなに作ったのでしょう。

  それは、ヨーロッパの繊維用途別消費量の推移を見るとその秘密がわかりそうです。

  ヨーロッパではこの10年間、衣料用は11.1%・装飾用15.3%・カーペット29.5%・産業用128.6%と押しなべて増加しており、日本のように成長途上国の影響による生産の壊滅的傾向が見られないのです。しかも産業用生産はとてつもない成長をしているのです。これは一体どうした事でしょう。

  ヨーロッパがこれほどに成長してきた要因として次の点が指摘されています。

1) 新技術・新製品・新機械の登場
2) 社会環境の変化に伴う機能性繊維への需要増大
3) 産・官・学の一体的な開発・事業化・情報ネットワークの進展
4) 衣料用から産業用分野への進出


 どの点を見ても、日本の公的機関が現在展開している論理そのものですが、日本ではどうもそのような思考は一般の生産者に実感としてなく、浸透していないようです。その要因には他の産業からのオフアーがあって、実際に成功モデルとなっている例が示されていない事があります。他の産業を含めて進むべき道を、従来の延長型から創造型へと転換しないとそうならないのかも知れません。これは重要な事です。

 弊社は公的機関主催の研究会に幾つか所属しており、上記の2)と3)の要因に関わって、活路の開拓を目指しておりますが、短期的にはなかなか広い道は開けそうにもありません。それは産業用の大きな需要が日本ではまだまだ見えないからです。

  しかし、チャンスはいつ来るか判りません。「繊維産業はダメだ」なんて勘違いしていないで、その時がきたら、すぐにつかめるようにトレーニングは欠かせないと思っております。

【うんちく5 コンピューターの起源】
 知っていますか?コンピューターの原理が紋織物を作る装置から発明されたということを。
 その昔、紋織物を織るとき、紋引手(タテ糸を持ち上げる人)が紋引き棚(織機のやぐらの上)に座って、織り手の作業に合わせてタテ糸を上げ下げして、その上下したところ(開口部)から織り手がヨコ糸を入れて、柄織物を作っていたんです。

 この紋引手の手作業を機械化(1804年)したのが、フランスのジョセフ・マリー・ジャカールでした。この装置(ジャガードという)は、複雑な模様を表現すのに便利で、織物・レース・刺繍・などの分野でも応用されています。

 その仕組みは、紋紙(必要な図形の穴をあけたもの)にヨコ針すべてを当てると、その紋紙にあてた穴の部分だけのヨコ針が穴の中に入り、その分だけのタテ針に動きが伝わりタテ糸が持ち上げられるようになっています。(その逆方式もあります)この穴のあいている、いないという原理がコンピューターのON・OFFと同一なのです。
 出口織ネームでは、織機はシャットルとレピア織機を設備。ジャガードは紋紙形式と電子ジャガード形式があり、電子化の設備更新を行っています。左は出口織ネームのレピア織機。世界最大のジャカー機で最大織巾1900ミリ最大織柄生地長100M〜1000M裏も表も全面一柄のネクタイテーブルクロス懸垂幕校旗 笠地大型の日除けのれんなどが製造可能です。 
⇒ その他の設備を見る
レピア織機
  繊維というと、何か古い産業というイメージが付きまとっていますが、実は最先端技術が生きている産業分野なのです。
 コンピューターの発達と共にジャガード機も真っ先に電子化されて、電卓が普及する前の時代に、某ミシンメーカーが『電子のお針箱』というキャッチフレーズをつけてミシンのセールスをしていました。そんな記憶のある年配の方もいらっしゃるはずです。これからもコンプユーターと共に、繊維産業はまだまだ発展しますよ。ただし、どこの国でそうなるのはかは神のみぞ知るでは困るんですけどね・・・

【うんちく4 上質なネクタイの見分け方】
 夜の街、とあるお店に入ると、お店のママさんが、「上着お預かりしますね」と、さっと脱がしてくれるのは親切ばかりからではないのです。すばやく裏のネームを見る。お客が金持ちかどうかを手っ取り早く確認しているのです。付いてる織ネームのブランド名は最も手軽で確実なお客の判別方法なのです。その夜、きわめて愛想がよかったのは身なりのせいかもね? 

ネクタイの裏のループ、これも織ネームと言います。
これがネクタイ裏の織ネームです。

 対面販売で売上成績の抜きん出た販売員は、身なり・しぐさ・会話等々あらゆる角度からお客を観察するものですが、なかでも上客の判別にはスーツ、ネクタイ、時計、靴がポイントであると言っています。

 かの国からの商品が大量に輸入されるようになってから、デフレスパイラルが激しく、ついには、今まででは考えられなかったような価格の商品があらゆる分野に登場するようになりました。ネクタイもまた例外ではなく、百円ショップでの登場です。一体ものの価値はどうなってしまったのでしょうか。
 
 ブランド商品でさえ、かの国で生産されるようになってきたのです。原産地の表示だけでは、かの国の商品が粗悪であると断言する事も出来にくくなってきたのです。ぱっと見ただけではどこが、どう違うのか、区別が付きにくいのも事実です。そこで、ものの価値を知るためにも、是非、お知りおき頂きたい「話」を一つ二つ、お届けします。

 締めやすく、弛みにくいのが良いネクタイであるかどうかの判断の基準ですが、その要因に、素材と作り方があります。ネクタイの生地には絹100%、ポリエステル100%、絹/麻、ポリエステル/絹、ウール/絹等あります。現在のところ正絹のものが最上位とされています。しかも、プリントよりジャガード織がグレードは上位です。

 作り方から見てみますと、上質なネクタイには次のような部品があります。
表生地は、大きい三角の方を大剣(幅9〜9.5cm)、小さい三角の方を小剣(幅3.5〜4cm)、大剣と小剣を結ぶのを中継ぎと称します。大剣と小剣には表地と裏地と芯地、中継ぎは表地と芯地があり、それぞれ縫い合わされ、結び終わった後に小剣を通すループ、ブランド名を入れたネーム(ループとネームを兼用したものもあります。ちなみにADONISというブランドにご注目ください。手の込んだ良いつくりがなされています。)とで作られています。

 さあ、ここまで見かけが一緒でも、その内容に作りの違いがあるのです。まず、表生地ですが、生地の密度のしっかり入った物がいいのです。芯地の厚みも関係あるので、ただ厚ければ良いものでもありません。特にシルクは大剣の部分を2〜3度よく握り、シワの戻り具合をみるとわかり易いのです。上質なものはシワの戻りが早く、ふっくらぽったりしています。そして、大剣の裏にある裏地は表地と同じものを使っていれば、まず高級なものが多いのです。しかも、その裏地が複雑な折り曲げ方をしてあれば、「セブン・フォールド・タイ」といわれる伝統的な製法か、それに近い手の込んだ作り方なのです。次に、大剣裏側にある菱形部分の頂点に縫い合わせ(バー・タックといいます)がありますが、この大剣裏を左右に広げた時、芯地が奥のほうに見えてしまうネクタイは、作りが雑であることが間違いありません。
 そして、大剣裏の先端部分を内側に折り曲げてみる。ピッタリと三角形になるものが良いのです。ネクタイはバイアスという裁断の仕方をします。対角線に沿って斜めに生地を裁つ事をさします。正バイアスで裁断すれば、大剣部分も三角形になるというわけです。
 バイアスは生地に伸縮性ができ、生地が垂直に下にたれる。結びやすい。解けにくいという利点があります。1926年にアメリカのジェシー・ラングスドルフという人が考案したそうです。もう一つ。小剣の先端を指でつまんで左右に振ってみます。ネクタイはさまざまな形によじれます。この時のよじれの少ないもの、すぐに復元しようとするものが上質なネクタイなのです。

 ブランド名にこだわらず、商品を見る眼を養いましょう。お宅にあるネクタイがあなたの眼力をお待ちしていますよ。ぜひぜひお試しください。

【うんちく3 色ボケの季節】
 色ボケ、これって、すべて私のあるがままの姿? であるかもしれないのです。でも、ひょっとしたら、あなたにもそんな「気」はありませんか? いや、「そんな事は絶対ない」と言える人に季節の朗報?をお届けします。
6月から7月にかけては色ボケの賑やかな季節の到来です。
私の住む鶴来の里は、町花がアジサイです。アジサイは紫陽花とも書き、原産はれっきとした日本の花なのです。西洋アジサイというのは、ガクアジサイが江戸期にヨーロッパに渡り、品種改良されたもので、日本にお戻りあそばした分家なのです。
因みに、鶴来の里での見どころは、パーク獅子孔吼と運動公園(アジサイ通り)にあり、道々に花壇として植栽されております。ほかにも見どころ、美味いもの処が結構ありますので、ゆっくりと散策にいらしてくださいね。

この花は七変化すると言われているように、1本の木がさまざまに、色の変化をする事でよく知られています。初めは青だったのに、いつのまにか赤になっていた、或いはその逆になった、という事をご承知の方はたくさんいらっしゃると思います。街角にある信号機ほどに早く変わらないので気付いていない方もいらっしゃるかも知れません。お宅の庭のアジサイは、去年と今年、色が違っていたかも知れないのですぞ。
園芸品種としては 1.000種ぐらいあるそうで、世界的にも人気のある園芸品種で、新品種が今でも輸入されているそうです。

色の変わる原因
アジサイの色素はアントシアニンとアジサイの補助色素とアルミニウム元素との組み合わせによって赤い色、青い色に変化しているそうです。アントシニアンという色素は橙赤から赤、紫、青紫、青と多彩な花の色を出す色素で、酸性の溶液に入れるとさらに赤くなり、中性では紫色、アルカリ性では青色に変化します。アルミニウムは土壌から吸収するので、土壌にアルミニウムが溶け出ていることが青色になる条件のようです。酸性ならアルミが溶け出やすい >花は青色。アルカリ性、中性は溶け出しにくい >花は赤色となります。土壌に石灰を加えたら、さてどうなりますか、お試しあれ!
咲き始めのアジサイは、薄い黄緑色です。花びらのようにも見える「ガク」が大きくなるにつれて緑は薄くなり、だんだんと赤や青に色ずいて最も色鮮やか花の盛りを迎えます。それが過ぎると紫色を帯び始め、徐々に色があせてくすみ、再び淡い色になります。それはPHの影響以外に、酸化作用つまり、細胞液の中に酸化物質がだんだんと蓄積する事が起きます。これは老化現象(色ボケ)でもあるのです。ほかの植物でも老化現象によって微妙に色変わりしているですが、アジサイはとりわけ花期が長く、またもともと淡い色合いが多いため、色変わりが目立つという面もあります。ところで、人間様の色ボケも長命のせいですかね?

育て方
花の色を美しく出すには用土と肥料の選び方が重要です。青系を強くしたい時は、用土は酸性の性質が強い鹿沼土を主体にし、赤玉土や日向土を混合し、肥料は硫酸カリなど酸性になるものを選びます。赤系にしたい時には赤玉土を主体にし、腐葉土やバーミキュライトを混合します。肥料は窒素分とリン酸分を多くすると赤くなります。しかしあまり極端なやり方をすると生育に影響いたしますので、ほどほどに。
ちなみに、HB-101という植物栄養活力液を使用すると老化が抑えられて、花期がグーンと長くなることは、生け花をされる方ならご承知でしょう。花瓶に入れて、飾る時、ほんの一適、ぽとりとこれを入れてやると、かなり長持ちするのです。しかしある時期が過ぎると急激に萎れてしまいます。不思議なくらいです。
私の知り合いに(ひょっとして私かも)、頭にこれを使用すると「無き物」が復活すると信じて、愛用?している人がいます。毎日この原液をさみしくなった部分にすり込んでいるそうです。どうやら成果があるみたいです。なんでそうなるのか私的には??。しかし、花みたいに、ある時期がきたら急にバラバラと欠落はしないのかな?そんな事、ワタクシニハ???。植物の世界の色ボケと私のようなボケでは、どうやら質が違うようで、HB-101のお力を拝借しても、私のボケはどうにもならないようです。

【うんちく2 隠し味のある織物】

 高度成長期から余暇を楽しむ時代に入ったといわれて久しいのですが、なかなか時代の変化が激しすぎて、誰もがそんな気分になりきれないでいます。しかし間違いなく、今その時代を迎えています。より便利で、より快適で、より楽しい生活を誰もが望んでいます。望まれるものが、タイムリーに提供できる『もの創り』がこれからの時代に必要になると思われます。

 食材を調理するにあたって、隠し味を使ってその食材の特徴をより引き出すことが行われますが、織物でもそんな事があってもよいのではないかと考えられるようになって久しいのです。ではどんなことが、それにあたるのでしょうか。ジャガード織物の世界で経験した事を取り上げてみましょう。

1. デザインを構成する色と色の隙間にチラリチラリと隠し色がのぞくようにし、色の深みを出す。又は、単色の糸の組み合わせではなく、一本の糸そのものに複合的な色を持たせ、複雑な色構成に仕上がるようにする。
2. 織り方を変化させる、異素材を組み合わせるなどによる風合いの変化を引き出す。
3. 布が持つデザイン・風合いの他に、布に機能性を持たせることにより、その魅力を増す。 機能性とは糸に加工を施す、布にしてから加工を施す、二通りの方法があり、加工方法には物理的・化学的な方法がある。

 弊社では、今、3の方法によるもの創りに盛んに挑戦しています。布にしてから加工を施すことは大型の装置が必要で、量 産と納期が必要というデメリットがあります。糸に加工を施す場合でのデメリットは高コストになりやすいということがありますが、仕上がり風合いを損なうことなく、しかも少量 生産に対応しやすいメリットがあります。

 素材が持つ本来の性質以外の特性を何らかの方法によって加工することを機能性を付加すると称しています。機能性には実にさまざまの要素があり、科学の発達した現代ならではと、感謝するものです。

 その内容には、防縮・防水・防塵・防腐・撥水・難燃・防炎・抗菌・消臭・害虫忌避・制電・発熱などなど沢山の効果 があり、それぞれ一定の評価がされています。近年は環境に対する関心が高まっており、中でも健康に関する研究には目を見張るものがありますが、その中でも弊社は活性酸素の除去ができる抗酸化物質に注目しています。

 活性酸素は老化を促進したり、ガンなど、さまざまな疾病を引き起こす事はよく知られており、その種類も数多く、その傷害機構も多様であるようです。私たちが口にする食品にも抗酸化物質(細胞が酸化するのを防ぐ物質で、酵素・ビタミン・植物栄養素などがあります)を含むものが研究発表されていますが、これらの生成を防止したり、消去したりする能力は抗酸化物質によって大きく異なるようです。したがって、単一の抗酸化物質を多量 に摂取するよりも、性質や作用の異なった抗酸化物質をバランスよく摂取することが望ましいとされています。
http://www.mit-japan.com/ndl/seijyoubunsi/kousanka.htm

 弊社は食品加工業ではないので、食品分野の抗酸化物質につきましては他に譲るとしまして、住宅・衣料分野で応用できるものに注目しています。

 シックハウス症候とは、微量の化学物質に対して異常反応を示してしまう状態にある人をいいます。主に住居内で使われている家具や建材の塗料や接着剤に含まれる化学物質(ホルムアルデヒト・トルエン・キシレン・スチレンなど)の酸化作用に起因すると言われています。不眠・のどの痛み・咳・息苦しい・疲れやすい・ドライアイなどの症状を引き起こします。一旦発症してしまうとなかなか治りにくく、少量 の整髪料でも発症してしまうこともあるそうです。このような症状を解決する方法として抗酸化物質が応用されています。

 この物質は醗酵型微生物の培養によってできる特殊酵素で、すでに建築の世界で抗酸化 工法として評価されています。この酵素は、それらの化学物質を分解除去し続け、ほかにカビ防止・タバコ・ペットの臭いや病院・在宅介護など生活悪臭の分解、シロアリ・ゴキブリ・ダニ・ハエなどの害虫忌避効果 もあり、口にしても無害な安全性の高いものであるそうです。


 弊社では、この抗酸化物質を糸に付着させる方法を試みています。洗濯・耐光・ドライなどの堅牢度の高い数値を導き出すことはなかなか難しいことでした。まだまだ完璧というわけにはいきませんが、用途によっては商品として通 用するレベルとなっています。

 抗酸化物質を組み込んだ織物を室内に飾っておいたり、身に付けると、それらの物質を除去し続けますので快適でクリーンな生活が楽しめます。

 一枚の布、50センチx200センチの大きさで、マフラーとして作りました。襟元のおしゃれにお使いいただき、使わないときにはお部屋に下げておきますとタピストリーとしておしゃれな空間を演出します。しかも、いつのまにか、活性酸素を分解して、快適な生活に環境を整えているのです。

 もうひとつは旅行用のベストです。リバーシブルになっていて、裏側になったときには隠しポケットになるポケットが全部で7箇所付いています。表からはまったく見えません。パスポートとかお札など大事なものを入れておく場所にぴったりです。裏を表にすると、ポケットがデザインとして生きており、結構おしゃれです。

 しかも、生地を作っている糸には抗酸化物質を付着させてあります。活性酸素や臭気の除去をしてくれます。すがすがしい着こごちが楽しめます。より快適な、より心地よい生活をどうぞ!


【うんちく1 布の色落ちについて】

 厚化粧をしていないスッピンにもどきっとしますが、すっかり落ちてしまった布の精彩のなさにも、かなりガックリするものです。ましてや一緒にお供した水槽のお仲間にシッカリと色がかかっていようものなら、その原因となった彼女の洗濯表示の記号を目を皿のようにして見直すことは必定ですね。

 まだ、このように現象がはっきりわかる時は、誰が悪いのか(ものが悪いのか、使い方が悪いのか)、怒りの矛先がはっきりするのですが、何回も洗濯していると、いつのまにか色が抜けたなんて事の方が圧倒的に多いはずなんです。

 このような時、誰もがそんなものなのかと思って、そのままの場合が多いんではないでしょうか。実はそのあたりに、実に微妙なニュアンスが感じられるんです。それでいいのかなあ、って。

 布の材料は沢山あります。毛、絹、綿、麻、ガラス、金属、鉱物、炭素、合繊、化学繊維、近頃ではコンニャクの糸とか、とうもろこしの糸などなど、そうしょうと思うなら何でもそう出来るご時世なんです。そんな科学の発達した時代にナンデ色が落ちるのでしょうか。

 そもそも着色とは、ものを構成する架橋構造の隙間に色の材料が挟まっている状態をさすわけです。たとえて言えば、バスの座席に座っている人は少し揺れた位では、どうって事は無いですが、立ってる人、特に足腰の強くない人は、ひどい時には倒れたりする事があります。この何かに刺激を受けて所定の場所から脱落する事が色落ちなのです。車に乗るときはシートベルトをしますが、それに相応するのが色止めの技術なんです。日本は結構、この技術のレベルが高いのですよ。

 それでは、どんな刺激によって色は退色するのか考えてみましょう。

★ 洗濯するにあたっての退色
 洗剤には実に多くの種類のものがあります。もっとも最近は洗剤を使わないという画期的な全自動洗濯機が話題になりましたが、それって、水道水に含まれる滅菌目的の塩素を電気分解して次亜塩素酸を発生させ、その酸化力で汚れを分解するものなんです。(鉱物系や泥などの無機系の汚れは落ちないので、あくまでも汗ばんだ有機系の軽い汚れを落とす仕組みなんですよ。環境にやさしく、画期的なことですね。)

 見方を変えて、色も汚れだとすると、それを何とか落とそうというのです。過酷な話ですねえ。化学染料の場合だと、中性洗剤であれば、おおむね問題ありませんが漂白剤入りだと問題の起きる場合があります。染料によっては、漂白に対して明らかに強弱の差があるのです。

 実際にあった話ですが、あるメーカーでレイヨンの色落ちクレームが発生しました。そのメーカーは染工場に対して色が落ちないように「堅牢染め」で再度発注しましたが、もっとひどい色落ちが再び発生しました。それはなぜかと言いますと、業界用語でいう「堅牢染め」とはレイヨンの場合、反応染料を指します。この染料は漂白以外の堅牢度(下記参照)は極めて良好なのですが、漂白のみ最悪なのです。知らないことは恐ろしい!

★「耐光性」・・・光があたって退色してしまう。

 これは光に対する堅牢度、主に紫外線に対するものです。化学の世界では随分と研究を重ねていますが、なかなか大変のようです。今のところ染料では難しいようで、無機の顔料がベストですが、これはこれで、発色性があまりよくなく、大量生産の必要性などから、色数が少ないという欠点があります。

★「昇華堅牢」・・・熱によって色がとれてしまう。

 主に熱によって色が変化したり、抜けた色が他のものに移染.汚染することです。分散染料によって染めたポリエステルの布をスチームアイロンで140度以上の温度で長時間アイロンがけすると起きます。その性質を利用した染色方法(プリント)があるくらいです。最近は改質されたポリエステル糸で、昇華堅牢度の良好なカチオン染料のものが増えていますがまだまだ少ないので、ご注意あそばせ。

  その他、ドライ、摩擦、耐薬品性(酸、アルカリ、有機溶剤)などもあります。

 それからもう一つ、化学的でない染色方法による色落ちがあります。自然素材、天然の材料との関わり、感性を大事にする世界です。これはちょいとモノサシの違うお話ですね。

 でも、世の中値ごろ感というものが幅を利かせておりまして、「これ位のものにはこのレベルでいいのだ」という考えが残念ながら大勢を占めているんですよ。もう少しレベルを上げればいいのになあと思っても、それでいいのだと云われればそれまでなのです

 コストが圧迫されても、ベストな材料で、永い時の変化に飽きずにお付き合いのできるものをこしらえたい。そう思って商品を創り始めたのですが、色落ち一つの問題にしても、なかなか解決しにくいことがあります。それは、複合素材(*)を用いる商品のとき、使われ方によって(このことで妥協したくないのです)、どの材料かに欠点が目立つことがあることです。私は、顔料、カチオン染料をベースにしてその他の染料(色止め強化したもの)を組み込んだ素材の選択をしています。
  モニターや堅牢度テストでの確認をしながら進めていると、随分時間がかかります。妥協をしないってこういうことなんだと、今、つくづく遠い先を見やりながら歩みを進めています。

 これからも、いいものを永く使うという事をして頂くため、品質、感性に更に磨きをかけたいと思っています。どうぞよろしく。

(*註)「複合素材」
とは一本の糸が複数の素材で構成される場合と 一本一本が異なる素材で織り上げた場合、或いは作られた商品の パーツ毎に素材が異なる場合などがあります。各堅ろう度すべてを クリアーしようとすると、時間とコストの戦いが始まるのです。

※ジャガード織は、「ジャガード織物」「ジャガード織」「ジャガード織物」ともいいますが、当サイトでは「ジャガード織」に統一して表記おります。

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