高度成長期から余暇を楽しむ時代に入ったといわれて久しいのですが、なかなか時代の変化が激しすぎて、誰もがそんな気分になりきれないでいます。しかし間違いなく、今その時代を迎えています。より便利で、より快適で、より楽しい生活を誰もが望んでいます。望まれるものが、タイムリーに提供できる『もの創り』がこれからの時代に必要になると思われます。
食材を調理するにあたって、隠し味を使ってその食材の特徴をより引き出すことが行われますが、織物でもそんな事があってもよいのではないかと考えられるようになって久しいのです。ではどんなことが、それにあたるのでしょうか。ジャガード織物の世界で経験した事を取り上げてみましょう。
1. デザインを構成する色と色の隙間にチラリチラリと隠し色がのぞくようにし、色の深みを出す。又は、単色の糸の組み合わせではなく、一本の糸そのものに複合的な色を持たせ、複雑な色構成に仕上がるようにする。
2. 織り方を変化させる、異素材を組み合わせるなどによる風合いの変化を引き出す。
3. 布が持つデザイン・風合いの他に、布に機能性を持たせることにより、その魅力を増す。 機能性とは糸に加工を施す、布にしてから加工を施す、二通りの方法があり、加工方法には物理的・化学的な方法がある。
弊社では、今、3の方法によるもの創りに盛んに挑戦しています。布にしてから加工を施すことは大型の装置が必要で、量 産と納期が必要というデメリットがあります。糸に加工を施す場合でのデメリットは高コストになりやすいということがありますが、仕上がり風合いを損なうことなく、しかも少量 生産に対応しやすいメリットがあります。
素材が持つ本来の性質以外の特性を何らかの方法によって加工することを機能性を付加すると称しています。機能性には実にさまざまの要素があり、科学の発達した現代ならではと、感謝するものです。
その内容には、防縮・防水・防塵・防腐・撥水・難燃・防炎・抗菌・消臭・害虫忌避・制電・発熱などなど沢山の効果 があり、それぞれ一定の評価がされています。近年は環境に対する関心が高まっており、中でも健康に関する研究には目を見張るものがありますが、その中でも弊社は活性酸素の除去ができる抗酸化物質に注目しています。
活性酸素は老化を促進したり、ガンなど、さまざまな疾病を引き起こす事はよく知られており、その種類も数多く、その傷害機構も多様であるようです。私たちが口にする食品にも抗酸化物質(細胞が酸化するのを防ぐ物質で、酵素・ビタミン・植物栄養素などがあります)を含むものが研究発表されていますが、これらの生成を防止したり、消去したりする能力は抗酸化物質によって大きく異なるようです。したがって、単一の抗酸化物質を多量 に摂取するよりも、性質や作用の異なった抗酸化物質をバランスよく摂取することが望ましいとされています。
http://www.mit-japan.com/ndl/seijyoubunsi/kousanka.htm
弊社は食品加工業ではないので、食品分野の抗酸化物質につきましては他に譲るとしまして、住宅・衣料分野で応用できるものに注目しています。
シックハウス症候とは、微量の化学物質に対して異常反応を示してしまう状態にある人をいいます。主に住居内で使われている家具や建材の塗料や接着剤に含まれる化学物質(ホルムアルデヒト・トルエン・キシレン・スチレンなど)の酸化作用に起因すると言われています。不眠・のどの痛み・咳・息苦しい・疲れやすい・ドライアイなどの症状を引き起こします。一旦発症してしまうとなかなか治りにくく、少量 の整髪料でも発症してしまうこともあるそうです。このような症状を解決する方法として抗酸化物質が応用されています。
この物質は醗酵型微生物の培養によってできる特殊酵素で、すでに建築の世界で抗酸化 工法として評価されています。この酵素は、それらの化学物質を分解除去し続け、ほかにカビ防止・タバコ・ペットの臭いや病院・在宅介護など生活悪臭の分解、シロアリ・ゴキブリ・ダニ・ハエなどの害虫忌避効果 もあり、口にしても無害な安全性の高いものであるそうです。 |