織物の生産工程は分業化が進んでおり、それぞれに難易度の高い工程を経るために、どうしてそうなるのか分かりにくい現象がたくさん発生します。不良品の発生はその根源を断つことがセオリーであり、そのために設備の改善、工程管理の見なおしなど、余りに多くの要件があります。弊社は問題の解決をはかるうちに、その意義は完結型のメーカーを目指すしかない、と考えるようになり、設備の更新、改善、新設をしてきました。解決すべき問題には以下のような事例がありましたので、参考までにご紹介します。
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[1.染色]
●Tシャツやジーンズ・水着のネームの色が落ちた。(原因は反応染料)
●Tシャツなどの胸につけたネームの色がいつのまにかあせた。(原因は耐光堅
ろう度の不足)
●Yシャツのネームの色が落ちないように選択したレーヨン原着糸の色が落ちた。(原因は汚れおとしの溶剤)
●アイロンやホットプレスをかけたら、YシャツやTシャツにネームの色が汚染した。(原因は分散染料の昇華堅ろう不足)
●在庫していた商品のネームの色がいつのまにか変色していた。(分散染料の昇華堅牢の不良)
●金・銀・ラメ糸などの剥離による色はげが起きた。(原因はドライクリーニング)
《基本的解決方法》
どのような分野の商品(素材構成を知る)に使われるかを理解した上で、使用する素材と染料を選択し、問題が起きないように事前に対処する。
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[2.後染めのネームの不良]
●色むら、金銀糸の剥離、織物のねじれ・ゆがみなどがある。(染める時の 色止め剤等の反応による) |
[3.樹脂加工による不良]
●樹脂かすなどによる汚れ。(原因は器具の管理・調整不良)
●経糸・横糸方向の収縮による不良・折り曲げ加工時に曲がらないという形状記憶現象。(原因は加工の
設定ミスか温調器具の不良) |
[4.収 縮]
●洗濯をしたりアイロンを掛けたらネームが縮んだ。いつのまにかネームが縮んでいた。(原因は素材にある場合とネームの織物構造にある場合とがあり、それぞれに解決方法があります。)
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[5.織物不良]
●汚れ-原糸レベルでの汚れと製織時.製織後の汚れがある(管理工程の見直し)
●糸の不良-原糸レベルからの管理をすることは無理としても、撚糸工程でおおよそ管理できる。また、油剤の中には優れたものがあるので補助剤として使っています。
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[6.裏にある糸が表側に透けて見える]
●デザインに使われている糸のうち、裏にある糸が表側に透けて見える。これを見えないようにしたい。(解決方法5通りあります) |
[7.小さい文字の限度]
●小さい文字の限度はどれ位?(特別仕様は別として、英小文字で0.8ミリ角.レジスターマークで1.5ミリパイなら可能です。) |
[8.薄さ・厚さ]
●薄さについては(細い糸は20デニールで作るのが限度に近く、通常の 平織りの1/3以下となります)
●厚さについては太い糸を使うか多色にすれば、生地の厚さが2ミリ位の物は出来ます。 |
[9.布地の厚みを相当に出す]
●布地の厚みを相当に出す方法には、上記の他、サンドイッチ状にして、間に糸をはさむ方法があります。(挟む方法は2種類)
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[10.グラデーション]
●グラデーションをきれいに出す方法(織物組織をたくさん作り、染色の色相レベルを細かく設定し、そのいずれかか、その組み合わせによって表現するとよい)
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[11.織物表面の変化]
●収縮糸を使う、素材の組み合わせを変える、異なる織り組織を組み合わせる、などして加熱、薬品、加圧加工処理などすることによって変化の多い生地が生まれる。
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[12.生地を希望色にする方法]
●生地を希望色にする方法 織ネームを作る機械は基本的に白か黒のタテ糸でセットされています。織物組織の変化とヨコ糸の色によって、色の変化を出せますが、掛け合わせてもできない色もあります。その時には先染めか後染め、或いは、ベタ打ちによって生地に色をつける方法を取ります。
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[13.偽造防止の方法]
●偽造防止の方法 製造責任を明らかにする為に弊社は特殊な技術を用意しております。偽造防止の考え方は二通
りあると思います。一つは、まねの出来ない物を作ること。もう一つは、製造者責任を果
たすことが目的で、見かけ上は同じように見えても、よく見たら違いがあるように作ることです。弊社では複数の技術(例えば1と3と4)を組み合わせてつくる事をお奨めしています。
《まねの出来ない織り方》
1. デザインに使う糸に特殊な物を使う A法.B法 *別
途費用がかかります。
2. 縦糸に特殊糸を織り込む *別途費用がかかります。
3. 織物の組織を特殊な物にする。(解析しにくい組織) 見かけ上は同じように見えても、違いがある織り方。
4. デザインの一部に目立たないが違いがある織り方をする。
5. 織物の裏側に印をつける。
6. 袋織にして袋の中に文字を入れる。

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[14.織物の風合いについて]
●ベビー・女性用のもので柔らかさやアレルギーを起こさないものを必要とする場合、素材の選定と後加工での処理が重要になります。
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[15.連続番号について]
●織ネーム・ワッペン・ゼッケンに連続した番号を入れることが可能となりました。
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[16.名入れ技術について]
●のれん・フラッグ・のぼりに、お名前を入れることができます。
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